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2016/01/08

韓国でも問題になっている微小粒子状物質(PM2.5)等の大気汚染について

韓国のニュース番組中の天気予報では必ず「ミセモンジ(미세먼지)」という言葉が出てきます。
日本語に直訳すれば、「微細ほこり」となりますが、天気予報の時間に大気汚染濃度も伝えるほど問題視されている大気汚染について書こうと思います。


◎韓国の天気予報で表示される「ミセモンジ」は、何の数値を表している?


韓国放送公社(KBS)ホームページ中の災害情報ポータルを見てみると、「미새먼지 PM10」という表示がありますので、韓国で「ミセモンジ」となると、一般的にはPM10の数値となります。
日本でも言われているPM2.5と何が違うのかということで調べてみると、単純に言えば大きさが異なるようです。
実際には、一般的いう単純な大きさではなく、空気力学径という単位で測った時の数値の高さだということなのですが、僕はこのことに関しては門外漢なため、ここでは「大きさの違い」としておきます。


参考リンク
微小粒子状物質(PM2.5)とは|環境省
SPM,PM2.5,PM10,…,さまざまな粒子状物質|国立環境研究所


◎韓国社会における大気汚染への対応


冒頭にも書いた通り、韓国のテレビニュースの天気予報では大気汚染濃度の予報も伝えられます。
街中にも大気汚染状況を周知する機械が設置されていて、環境基準数値・最新数値を知ることができます。
ソウル特別市のホームページでは、日本語でも大気汚染濃度に関する情報を公開して、PM2.5やPM10の最新数値を知ることができます。
ほこり流入防止マスクはコンビニ等で売られていて、高麗大学校内でもマスクをしている学生を見かけます。
因みに、僕は元々アレルギー性鼻炎があるので、多少大気汚染について心配していたのですが、今のところマスクを付けなくても健康に大きな支障はなく過ごせています。


高陽市内の大気汚染状況周知機に表示されたPM10濃度

ソウル特別市江南区内の大気汚染状況周知機に表示されたPM10濃度


ソウル特別市江南区内の大気汚染状況周知機に表示されたPM2.5濃度


コンビニで売られているマスク。
「황사마스크(黄砂マスク)」や「황사방역마스크(黄砂防疫マスク)」とあるのが、ほこり流入防止のマスク。


参考リンク
大気環境情報|ソウル市公式ホームページ(日本語)



◎韓国で議論になっている大気汚染の原因


2013年頃と思われる、環境部(日本での環境省に相当)から発表された「ミセモンジ現況」を見ると、以下のような記述があります。


• 먼지의 발생원인은 자연적인 원인과 인위적인 원인으로 구분되나, 인위적인 발생이 대부분이다. 인위적인 발생원은 대부분 연료 연소에 의해 발생되며, 보일러나 자동차, 발전시설 등의 배출물질이주요 발생원이다. 그 외 공사장, 도로 등에서 비산되는 먼지도 많은 양을 차지한다.
ほこりの発生原因は自然的原因と人為的原因に区分されるが、人為的な発生が大部分だ。
人為的な発生は、その多くが燃料の燃焼により発生し、ボイラーや自動車、発電施設等が主な発生源だ。これ以外にも工事現場、道路などから飛散されるほこりも多くの量を占めている。


• 미세먼지 PM2.5는 자동차, 화력발전소 등에서 배출된 1차 오염물질의 대기 중 반응에 의한 2차 오염물질생성이 주요 발생원이며, 주로 황산염, 질산염, 유기탄소 등으로 구성되어 있다.
ミセモンジPM2.5は自動車、火力発電所等排出される一次汚染物質の大気中反応による二次汚染物質生成が主な発生源で、主に硫酸塩、硝酸塩、有機炭素等で構成されている。


• 특히, 국내외적으로 난방용 연료사용이 증가하는 겨울철에는 오염물질 배출이 증가하여 고농도 현상발생이 증가한다. 국내 뿐아니라 국외에서 유입된 오염물질도 우리나라 대기에 영향을 미친다. 연구결과에 의하면 대기오염물질 중 30~50% 내외가 국외에서 유입된 것이라 한다.
特に国内外的に冷房用燃料の使用が増える冬には汚染物質排出が増加し、高濃度になることが多くなる。国内だけでなく、国外から流入した汚染物質も我が国の大気に影響を与える。研究結果によれば大気汚染物質中30~50%程が国外から流入したのだという。


この記述の中には直接言及されていませんが、日本と同じように、大気汚染に関する韓国でのニュースの多くが「大気汚染が深刻な中国から流れてくる物質が、韓国の大気にも悪影響を及ぼしている」という論調が大半を占めているせいか、一般的な韓国人の認識も「韓国の大気汚染の原因は中国」というものが大半だと感じます。


その一方で、環境団体グリーンピースの事務所は、韓国国内のPM2.5の主な発生源は韓国国内の石炭火力発電所にあるとし、石炭火力発電所新規設置計画を中止し、再生エネルギーに転換するよう訴えています。


参考リンク
ミセモンジ現況|環境部(韓国語)
石炭火力発電所が排出する微素粒子状物質で年間最大1,600人が早期死亡|グリーンピース(韓国語)


◎日中韓の大気汚染は中国だけの問題?


少なくとも日韓では、「中国では大気汚染が深刻で、それが日韓にも影響を及ぼしている」という認識が一般的ですが、ここで言われている「中国」とは具体的に何を指すのか、中国共産党政権なのか、はたまた中国企業なのか、実際のところ曖昧ではないでしょうか。
「PM2.5は自動車、火力発電所等排出される一次汚染物質の大気中反応による二次汚染物質生成が主な発生源」だとするならば、少なくとも中国で走る自動車や、中国で稼働する火力発電所が発生源となるわけですが、中国で走る自動車はどういった会社が生産しているでしょうか。


中国で走る自動車を販売する会社というのは、大半が世界大手自動車会社(アメリカ・フランス・ドイツ・日本・韓国等)と中国資本が半々で構成された会社です。
ということは、大気汚染の原因は中国だけにあるわけではなく、中国に投資している中国外の自動車会社にもある、と言えます。


僕は、「大気汚染の原因は中国」という言葉で、「日韓に責任はない」という認識が、一般的な日韓国民の中にあるような気がしてなりません。
しかし、実際には日韓大手自動車会社の殆どが中国に投資していますから、単純に「日韓に責任はない」とは言えないのです。


もちろん自動車だけでなく、発電所・冷暖房の使用等も問題としてあるわけで、これから何のエネルギーをどのように使っていくのかもカギになっていくことでしょう。
また大気汚染は中国に留まらず、インドでも深刻な問題になっていることから、大気汚染は、地球規模の問題として世界全体で対応を考えなければならないのではないでしょうか。

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