ad1

2016/12/11

韓国最新政治事情‐弾劾訴追案の発議から国会採決での可決に至るまでの経緯を整理!

こんばんは、韓国政治の混乱を憂うタケオです。
前回の韓国最新政治事情において、「崔順実ゲート(최순실 게이트)」関連疑惑でこれまでにない危機に陥っている韓国の朴槿恵(박근혜、パク・クネ)大統領が、2016年11月29日に「自らの進退問題を、国会の決定に一任する」と述べたとお伝えしましたが、その後野党3党が朴大統領の弾劾訴追案を発議し、12月9日の国会採決において、有効投票数299票中賛成234票という圧倒的な賛成多数で可決しました。
今回は12月3日の弾劾訴追案発議から12月9日の国会採決までの経緯を整理してみたいと思います。


目次
1. 野党3党+無所属議員 弾劾訴追案発議
2. 「崔順実ゲート」疑惑関係者 聴聞会で曖昧な発言や「知らない」に終始
3. 弾劾訴追案可決 与党セヌリ党から62人に及ぶ大量造反
4. 黄教安国務総理 大統領職を代行「国民の声を傾聴、最大限国政に反映」
5. 終わりに‐憲法裁判所の判決日はいつ?


野党3党+無所属議員 弾劾訴追案発議



11月29日の朴槿恵大統領発言で、自らの早期退陣がないと見てか、野党3党と無所属議員の計171人は、朴大統領に対する弾劾訴追案を発議しました。


弾劾訴追案に記載された主な弾劾理由事項としては、以下の3点になります。
「崔順実ゲート」関連疑惑に加え、別途国民の一部から非難の上がっていたセウォル号(세월호)沈没事故の対応に関しても記載されているところが注目に値します。

1.
崔順実氏等の側近達が政策に介入し、国務会議に影響力を行使したことによる代議民主主義義務違反

2.
セウォル号沈没事故の際に、大統領が最高決定権者として被害状況や救助進行状況を全く把握していなかったことによる、憲法10条「生命権保障」違反

3.
大企業に対し、財団法人ミルとKスポーツ財団に出資金を出させたこと等の第三者収賄罪


※参考リンク
聯合ニュース2016年12月3日配信「野党3党+無所属議員 朴大統領弾劾訴追案発議('야3당+무소속' 의원 171명, 朴대통령 탄핵소추안 발의)」



「崔順実ゲート」疑惑関係者 聴聞会で曖昧な発言や「知らない」に終始



12月6日と8日には、「崔順実ゲート」関連疑惑に関する聴聞会が国会で行われました。


6日には財閥の役員級8人が証言台に立ちました。
証人として聴聞会に出席した財閥役員級の中には、辛東彬(신동빈、シンドンビン、日本名:重光昭夫)ロッテ(롯데)グループ会長も含まれています。


特に崔順実氏の娘である鄭維羅(정유라、チョン・ユラ)の乗馬選手としての援助疑惑がもたれている李在鎔(이재용、イ・ジェヨン)サムソン電子(삼성전자、サムソンチョンジャ)副会長は、「(崔順実氏のことは)個人的には知らないが、いつ知るようになったかはわからない」という曖昧な回答をしました。


8日には金淇春(김기춘、キム・ギチュン)前青瓦台(日本での官邸に相当)秘書室長や、自身への便宜疑惑が持たれているチャ・ウンテク(차은택)CM監督等が出席。
特に金淇春前青瓦台秘書室長は、大部分の質問に対して「記憶がない」とか「知らない」の一点張りだったり、崔順実氏のことを当初「知らない」としつつも、証拠を出されると「錯覚していた」として発言を撤回したり等しました。


※参考リンク
KBS2016年12月6日配信「崔順実国政調査 第1回聴聞会 財閥総裁出席(‘최순실 국조’ 1차 청문회…재벌총수 출석)」
KBS2016年12月8日配信「崔順実聴聞会終了 核心疑惑追求の度に「知らない」(‘최순실 청문회’ 종료…핵심 의혹마다 ‘모르쇠’)」


弾劾訴追案可決 与党セヌリ党から62人に及ぶ大量造反



12月9日、国会にて弾劾訴追案の採決が行われました。
可決されるには、国会全300議席中3分の2以上である200議席以上の賛成が必要で、野党3党と無所属議員が172議席を占める中、マスコミや政治評論家の間では、与党からの造反が30~40議席に上り、可決されるとの予想が多かったですが、実際の結果は、299議員が無記名投票に参加した中、賛成234票、反対56票、棄権2票、無効7票の圧倒的賛成多数で可決されました。


結果的に62票もの造反が出たことになり、与党から朴槿恵大統領と距離を置く「非朴系(비박계)」議員38人が賛成に回った他、朴大統領に近い「親朴系(친박계)」議員からも賛成した議員が多かったと見られます。


弾劾訴追案可決により、憲法裁判所が弾劾訴追案可決から180日以内に弾劾賛否の判決を下すというスケジュールが確定しました。


※参考リンク
朝鮮ビズ2016年12月9日配信「朴大統領弾劾訴追案可決 賛成234票 親朴系一部も造反か(박 대통령 탄핵 소추안 가결…찬성 234표, 친박계 일부 동조한 듯)」


朴槿恵大統領弾劾訴追案の採決が行われた韓国国会議事堂(2015年12月13日撮影)


オーマイニュースTV公式Youtubeチャンネル2016年12月9日配信「朴槿恵大統領弾劾訴追案可決の瞬間(박근혜 대통령 탄핵소추안 가결의 순간)」


黄教安国務総理 大統領職を代行「国民の声を傾聴、最大限国政に反映」



朴槿恵大統領に対する弾劾訴追案が可決されたことで、朴大統領は職務停止の状態になり、黄教安(황교안、ファン・ギョアン)国務総理(日本の首相に相当)が大統領職を代行することになりました。


黄国務総理は、大統領職開始後に開いた「対国民談話(대국민담화)」の中で次のように述べています。


※参考リンク
ソウル経済新聞2016年12月9日配信「【全文】(黄教安 権限代行 対国民談話[전문]황교안 권한대행 대국민 담화)」


존경하는 국민 여러분,
저는 최근 국민 여러분께서 평화적 집회 등으로 민주적 의사표시를 하시는 모습에서 성숙한 대한민국의 미래를 볼 수 있었습니다.
정부는 국민 여러분의 목소리를 경청하여 최대한 국정에 반영토록 하겠습니다.
이제는 거리의 목소리가 현재의 국가위기를 극복하는 동력으로 승화되도록 국민 여러분께서도 뜻을 모아주시기를 머리 숙여 간곡히 당부드립니다.
  
尊敬する国民の皆様私は昨今皆様の平和的集会等で民主的意思表示をなさっている姿から、成熟した大韓民国の未来を見ることができました。政府は国民の皆様の声を傾聴し、最大限国政に反映するように致します。市井の声が現在の国家危機を克服する動力となるよう、国民の皆様もそれぞれの思いを結集して下さるよう、頭を下げて心の底からお願い申し上げます。 

여야 정치권과 국회에 부탁드립니다.
국가와 국민이 하루속히 안정을 되찾을 수 있도록 힘과 지혜를 모아주시기 바랍니다.
정부도 국회와 긴밀히 소통하면서 국가안보, 경제회생, 민생해결과 함께 국정안정에 최선을 다하겠습니다.
 
議員の皆様と国会にお願い申し上げます。国家と国民が一日も早く安定を取り戻せるよう、力と知恵を結集して下さい。政府も国会と緊密に連絡を取り合いながら、安全保障・経済回復・生活問題解決と共に、国政安定に最善を尽くします。 

지금 같은 엄중한 시기에 공직자들의 소명의식과 헌신이 무엇보다 중요합니다.공직자 여러분께서도 오직 국민과 함께 한다는 자세로 심기일전하여 주어진 책무를 충실히 수행해주시기를 바랍니다. 
今のような厳しい時期に公職者の使命感と献身が何よりも重要です。公職者の皆様もひたすら国民と共に歩むという姿勢で、心機一転与えられた責務を充実に遂行して下さるようお願い申し上げます。 

존경하는 국민 여러분,
지금 세계가 대한민국을 주시하고 있습니다.
그동안 우리는 외환위기, 국제금융위기, 각종 사회갈등 등 여러 위기와 혼란을 슬기롭게 극복해왔습니다.
나라 안팎의 위기 극복을 위해 다시 한 번 힘을 모아주십시오.
국정운영에 한 치의 흔들림이 없도록 적극적인 협조와 성원을 보내주시기를 간곡히 호소드립니다.
 
尊敬する国民の皆様今世界が大韓民国を注視しています。通貨危機・国際金融機器・各種の社会葛藤等、幾つもの危機と混乱を賢明に克服してきました。国内外の危機克服のために再び力を集めて下さい。国政運営に一切の揺るぎがないよう積極的な協力と声援を送って下さるよう、心の底よりお願いする所存です。


終わりに‐憲法裁判所の判決日はいつ?



朴槿恵大統領弾劾訴追案が可決されたことで、次の焦点は憲法裁判所がいつ判決を下すか、ということになります。


盧武鉉(노무현、ノ・ムヒョン)元大統領の弾劾訴追案が2004年3月12日での国会採決で可決された時は、約2ヶ月後の2014年5月14日に憲法裁判所が判決を下しましたが(棄却となり、翌日に職務復帰)、憲法上では弾劾訴追案可決から180日以内に判決を下すことになっており(憲法裁判所法第38条より)、最長で6ヶ月先の判決が可能となっている中での、憲法裁判所でのスケジュール調整がどのようになるか、注目されます。


尚、憲法裁判所での大統領弾劾決定条件及び弾劾決定・棄却後のスケジュールは次の通りです。


弾劾決定条件:裁判官9人中6人以上の賛成(憲法第111条・113条より)
弾劾決定後:60日以内に大統領選挙実施、選出された新大統領は任期5年(憲法第68条・公職選挙法第35条より)
弾劾棄却後:朴大統領職務復帰(憲法第65条より)


※参考リンク
大韓民国憲法|国家法令情報センター(韓国語)
憲法裁判所法|国家法令情報センター(韓国語)
公職選挙法|中央選挙管理委員会
ソウル新聞2016年12月9日配信「朴槿恵弾劾を控えた今日、12年前の盧武鉉弾劾を振り返る(박근혜 탄핵 앞둔 오늘, 12년 전 노무현 탄핵을 돌아보다)」



現代韓国や朴槿恵氏については、こちらの書籍もご参考に!