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2016/03/06

韓国の独自教育制度である代案学校とは?

こんばんは、タケオです。
高麗大学校語学堂4級の授業を受ける中で、韓国には代案学校という特殊な学校があると知ったのですが、具体的な内容を知りたくなり、いろいろ調べてみました。


◎代案学校とは?


大韓民国の初・中等教育法では、代案学校は以下の通り規定されています。

“대안학교”란 학업을 중단하거나 개인적 특성에 맞는 교육을 받으려는 학생을 대상으로 현장 실습 등 체험 위주의 교육, 인성 위주의 교육 또는 개인의 소질·적성 개발 위주의 교육 등 다양한 교육을 하는 학교를 말하며,...
「代案学校」とは、学業を中断したり個人的特性に沿った教育を受けようとする生徒を対象に、現場実習等体験を中心とした教育、人格形成中心の教育又は個人の素質・適正開発中心の教育等多様な教育を行う学校を指し、…


学力認定については、以下のようになっています。

국공립 대안학교와 설립인가를 받은 대안학교를 졸업한 경우 초등학교·중학교·고등학교 졸업 학력이 인정됩니다.
国公立代案学校と設立認可を受けた代案学校を卒業した場合、小・中・高等学校卒業と同等の学力が認定されます。

그러나 미인가 대안학교를 이수할 경우 국가로부터 학력인증은 받을 수 없고, 학력취득이 필요한 경우, 검정고시 제도를 활용할 수 있습니다.
未認可代案学校を履修する場合、国家からの学力認定を受けられませんが、学力取得が必要な場合は検定考試制度(日本での学校卒業程度認定試験に相当)を活用できます。


※引用元リンク
代案学校:探しやすい生活法令情報|法制処


◎代案学校の種類


代案学校には大きく分けて、教育部(日本の文部科学省に相当)から認可を受けている認可型と受けていない未認可型があるのですが、認可を受けている代案学校は以下の3種類があるようです。


①認可型代案学校


認可型代案学校は、2015年3月時点で、韓国全土に私立11校・公立3校の計14校あり、高等学校のみもあれば、中高一貫・小中高一貫のものもあります。
法律等では以下のように規定されています。


概念
“인가형 대안학교”는 설립인가를 받은 대안학교로 이를 졸업한 자는 초등학교·중학교 또는 고등학교 졸업 학력이 있는 것으로 봅니다.
「認可型代案学校」は、設立認可を受けた代案学校で、卒業した者は小中又は高等学校卒業の学力があるとみなされます。

教育課程
대안학교의 교육과정은 대안학교의 장이 학칙으로 정합니다. 다만, (중락)교과 중에서 국어 및 사회(중학교와 고등학교 과정의 사회 교과는 국사 또는 역사 포함)를 교육부장관이 정한 교육과정상 수업시간 수의 100분의 50 이상을 운영해야 합니다.
代案学校の教育課程は、代案学校の校長が校則として決められるが、(中略)教科の中で、国語及び社会(中学校と高等学校課程の社会強化は、韓国史又は世界史を含む)は、教育部長官が定めた教育課程上の授業時間の50%以上を運営しなければなりません。

※引用元リンク
代案学校:探しやすい生活法令情報|法制処


国語と社会を除いて、完全に学校の裁量で授業割合を決めることができて、その上学力認定を受けられる学校というのは、日本では中々ないですよね。
それが韓国では14校もある(と言えるかは個々の感覚で違うかもしれませんが)ということは、韓国社会の中で教育に対する価値観が、日本よりは多様化してきていると言えるのではないでしょうか。


②委託型代案学校


委託型代案学校は以下の通り規定されています。


概念
“위탁형 대안학교”는 일반 고등학교를 다니는 학생들 가운데 학교가 맞지 않는 학생들이 원하는 교육기관에 가서 학습을 받는 학교를 말합니다.
이러한 위탁교육은 전학과 달리 원래 다니던 소속 학교에 학적을 두고 다니기 때문에 출결과 성적 부분을 보면 위탁형 대안학교에서 취득한 출결 기록과 성적은 그대로 인정이 됩니다. 따라서 위탁형 대안학교의 교육과정을 모두 마치면 소속 학교에서 졸업장을 받게 됩니다.
「委託型代案学校」は、一般の高等学校に通う生徒の中で、学校に馴染めない生徒が希望する教育機関に通い、学習を受ける学校のことを言います。
このような委託教育は、元々通っていた学校に籍を置いたまま通うことになりますが、出欠と成績については、委託型代案学校で取得した出欠記録と成績はそのまま認定されます。
従って、委託型代案学校の教育課程を全て修了すれば、所属している学校で卒業証書を受け取ることが出来ます。

志願資格
정상적인 학교생활을 하기 어려운 학생 및 학업을 중단한 학생에 대하여 교육감이 정하는 수업일수의 범위 안에서 체험학습 등 필요한 교육을 실시하거나 교육감이 적합하다고 인정하는 교육기관 등에 위탁하여 교육을 실시할 수 있습니다.
正常な学校生活を送るのが難しい学生及び学業を中断した学生に対して、教育官(日本での各自治体教育委員長に相当)が決めた授業日数の範囲内で体験学習等必要な教育を実施したり、教育官が適切だと認めた教育機関等に委託し、教育を実施することができます。

정규 고등학교에 학적이 있는 학생만 위탁이 가능하기 때문에 위탁형 대안학교를 희망하는 학생은 퇴학이나 자퇴를 한 학생은 지원할 수 없으며, 정규 학교 중퇴자는 재입학이나 편입학을 통해 학적을 회복한 후에만 위탁형 대안학교에 들어갈 수 있습니다.
正規高等学校に籍を置いている生徒のみ委託が可能なため、退学した生徒は委託型代案学校に志願することができず、正規学校の中退者は再入学や編入を通じて籍を回復した後にのみ委託型代案学校に入ることができます。


学力認定については、以下のようになっています。

위탁형 대안학교는 과정을 이수하면 원적 학교의 졸업장을 수여받는 형식으로 학력인증을 받게 됩니다.
委託型代案学校は、課程を履修すれば籍を置いている学校の卒業証書を受け取る形で学力認定を受けられます。

※引用元リンク
その他学校:探しやすい生活法令情報|法制処(韓国語)
代案学校:探しやすい生活法令情報|法制処


学校に籍を置きながら別の学校に通うという点が、日本で教育を受けたものから見ると興味深い点ですね。


③代案教育特性化学校

代案教育特性化学校は、中高で設けられている学校で、この内代案教育特性化高等学校は、2015年3月時点で、韓国全土に私立11校・公立2校の計13校あります。
学力認定については、一般の高校と同じ資格が与えられます。
法律等では以下のように規定されています。

概念
“대안교육 특성화고등학교”란 소질과 적성 및 능력이 유사한 학생을 대상으로 자연현장실습 등 체험위주의 교육을 전문적으로 실시하는 고등학교 입니다.
「代案教育特性化高等学校」とは、素質と適正及び能力が類似した生徒を対象に、自然現場実習等体験重視の教育を専門的に実施する高等学校です。

特徴
국민공통기본교육과정은 35% 범위 내에서 자율운영이 가능하고, 선택중심 교육과정의 경우 전체적으로 자율운영이 가능합니다. 대안교육 특성화고는 특히 전인교육·인성교육 등을 위주로 한 공동체교육, 자신에게 주어진 시간을 본인 스스로 관리하는 자기주도 학습, 자연친화적 학습 등에 큰 비중을 두고 교육하고 있습니다.
国民共通基本教育課程(小学校~高等学校1年生までの教育課程)は35%の範囲内で自律運営が可能で、選択中心教育課程(高等学校2・3年生での教育課程)の場合は全般的に自律運営が可能です。
代案教育特性化高等学校は特に人格形成教育等を重きに置いた共同体教育、自身に与えられた時間を本人が自ら管理する自己主導学習、自然親和的学習等に大きな比重を置いた教育を行います。

※引用元リンク
代案教育特性化高等学校:探しやすい生活法令情報|法制処(韓国語)


認可型代案学校と比較すると、高校1年生までは裁量度が狭いですが、高校2・3年生は逆に裁量度が広くなると言えそうです。
それでいて、学力認定は高校卒業と同等と見なされるそうなので、日本にはあまり見られない形の高校ということになるでしょう。


◎未認可代案学校の実態


未認可代案学校について、教育部が2014年4月1日基準で行った実態調査を見ると、教育の対象者によって費用は様々なようです。


2014年6月24日付東亜日報‐未認可代案学校の半数 年当たり学費500万ウォン以上(韓国語)

미인가 대안교육시설은 대안교육을 표방하고 있으나 정식으로 인가를 받지 못해 학력이 인정되지 않는 시설이다. 
전국적으로 230여 곳이 있는 것으로 추정된다.
未認可代案教育施設は、代案教育を標榜するものの、正式に認可を受けておらず、学力が認定されない施設だ。
全国に230ヶ所余りが存在すると推定される。

조사 결과에 따르면 학습자들이 부담하는 교육비는 연평균 620만7000원으로 비싼 편이었다. 입학금, 수업료, 기숙사비, 급식비를 포함한 금액이다. 특히 5곳은 연간 교육비가 2000만 원이 넘었고 입학금이 1000만 원인 시설도 있었다.
서울 기준으로 일반고의 경우 연 175만 원, 자율형사립고는 600만 원 수준이다.
調査結果によると、学習者が負担する教育費は年平均620万7,000ウォン(約59万円)と高い方だった。
入学金・授業料・寮費・給食費を全て含めた金額だ。特に5ヵ所は年間教育費が2,000万ウォン(約190万円)を超え、入学金が1,000万ウォン(約95万円)の施設もあった。
ソウル基準の一般の高校の場合、年175万ウォン(約16万7,000円)、自律型私立校は600万ウォン(約57万円)の水準だ。

170개 대안학교의 199개 학급수 기준으로 연 교육비가 무료인 곳이 52곳(26.1%)이었고 100만 원 미만은 18곳(9%), 100만∼250만 원 미만 10곳(5.0%), 250만∼500만 원 미만 19곳(9.5%), 500만∼1000만 원 미만 46곳(23.1%), 1000만 원 이상이 54곳(27.1%)이었다.
170の未認可代案学校の計199のクラスを基準とすると、年教育費が無料のところは52ヶ所(26.1%)で、100万ウォン(約9万5,000円)未満は18ヵ所(9%)、100万~250万ウォン(約9万5,000~23万8,000円)が10ヶ所(5.0%)、250万~500万ウォン(約23万8,000~47万5,000円)が19ヶ所(9.5%)、500万~1,000万ウォン(約47万5,000~95万円)が46ヶ所(23.1%)、1,000万ウォン以上は54ヶ所(27.1%)だった。

탈북학생, 미혼모 등 사회적 취약계층을 대상으로 하는 시설은 수업료를 받지 않거나 연간 교육비가 250만 원 미만이었다.
종교·선교, 외국어 등 국제교육을 목적으로 하는 미인가 대안학교는 연 교육비 1000만 원 이상이 대다수여서 학부모 부담이 큰 것으로 조사됐다.
고액의 학습비를 받는 미인가 국제형 대안학교는 외국 대학 진학을 위해 사실상의 사교육 기관으로 운영되고 있다는 지적이 있어 왔다.
脱北生徒、シングルファザー・マザー等社会的弱者を対象にする施設は、授業料を受け取らなかったり、年間教育費が250万ウォン未満だった。
宗教・宣教、外国語等国際教育を目的とした未認可代案学校は年教育費1,000万ウォン以上が大多数で、保護者の負担が大きいことがわかった。
高額の学習費を受け取る未認可国際型代案学校は、外国大学進学のための事実上の私教育機関として運営されているという指摘が出ている。

미인가 대안교육시설을 교육 목적별로 구분하면 부적응 학생 교육이 83곳(48.8%)으로 가장 많았다. 이어 일반 대안교육 32곳(18.8%), 종교·선교 27곳(15.9%), 다문화·탈북 17곳(10%), 국제교육 6곳(3.5%) 순으로 나타났다.
未認可代案教育施設を教育目的別に分けると、対不適応生徒教育が83ヶ所(48.8%)と一番多かった。
続いて一般代案教育32ヶ所(18.8%)、宗教・宣教27ヶ所(15.9%)、多文化・脱北17ヶ所(10%)、国際教育6ヵ所(3.5%)の順とわかった。


未認可代案学校の年平均教育費が高い方とありますが、半数以上を占める年500万ウォン以上の学校が平均額を押し上げていると見ることができるので、実際には学校によってまちまち、という方が適切だと思います。
脱北者の教育のために設立された代案学校があるというところが、正に韓国らしいですね。
また、「未認可国際型代案学校は、外国大学進学のための事実上の私教育機関として運営されているという指摘が出ている」とありますが、外国大学進学のためには大方高等学校の卒業認定が必要なはずなので、検定考試と大学入学の両方を準備しなければならない点が、そこに通う生徒にとっては非常に負担ではないかと思うのですが、それでも通う生徒がいるということは、とても生徒・保護者からの評価が高いと言えそうです。


◎代案学校卒業生の声


ある代案学校の卒業生が、代案学校卒業生に行った調査では、代案学校に通ったことは後悔していないものの、卒業後の進路に悩む卒業生が少なくないことが窺えます。


2015年6月20日付韓国日報‐卒業後の進路は様々 代案教育を受けたことは後悔せず(韓国語)

대안학교에 대한 만족도는 대체로 높다.
전통적 대안학교인 제천간디학교 졸업생인 오한길씨 등 4명이 지난해 전국의 대안학교 졸업생 80명을 대상으로 한 설문조사 결과에 따르면 ‘대안교육을 받은 것을 후회한 적이 있느냐’는 질문에 23.8%(19명)만 그렇다고 답했다.
20대 중반의 대학생인 한 대안학교 졸업생은 “졸업하고 앞길이 막막해 방황하긴 했지만 대안교육을 받았다는 것 자체에 후회는 없다. 자부심을 느낀다”고 답했다.
代案学校に対する満足度は概ね高い。
伝統的代案学校である堤川ガンディー学校卒業生等4人が昨年全国の代案学校卒業生80人を対象にした設問調査の結果によると、「代案教育を受けたことを後悔したことがあるか」という質問に、「そうだ」と答えた卒業生の割合は23.8%(19人)に留まった。
20代中盤の大学生である代案学校卒業生は「卒業後の進路が色々で戸惑いはしたが、代案教育を受けたこと自体に後悔はなく、誇りを感じる」と答えた。

졸업 후 현실의 벽을 느끼는 졸업생들이 적지 않았다.
설문에 응한 20대 후반의 또 다른 졸업생은 “대학 가서 대안학교에서 교육받은 대로 행동하다 부적응자가 돼 휴학하게 됐다”며 “적당한 위계 질서와 제도 교육이 있었더라면 적응이 쉬웠을 텐데 대안적인 사회가 없기 때문”이라고 했다.
일부는 교과나 지식 중심의 교육을 하지 않는 대안학교 특성상 일상에서 약간의 불편함을 토로하기도 했다.
대학 진학을 준비 중인 20대 후반 대안학교 졸업생은 “지인들과 대화를 할 때 가끔씩 기본적인 지식이 부족하다는 생각이 들 때 후회된다”고 했다. “열심히 놀기만 해서 기본 상식이 많이 부족하다” “정규교육과정과 많이 떨어졌다고 느끼는 점 말고는 후회하지 않는다”는 답도 있었다.
卒業後現実の壁に直面する卒業生は少なくない。
20代後半の卒業生は「大学に行って代案学校で教育を受けたように行動していたら、大学に馴染めず休学することになった。階級秩序と制度教育があったならば適応しやすかったと思うが、代案的社会がない」と答えた。
一部は、教科や知識中心の教育を行わない代案学校の特性上、日常生活で若干の不便を訴えた。
大学進学を準備している20代後半の代案学校卒業生は「知人と会話するときに偶に基本的知識が不足していると思う時に後悔を感じる」と答えた。「いっぱい遊んで基本常識がかなり不足している」、「正規教育課程とかなりかけ離れていたと感じる点以外は後悔していない」という回答もあった。


◎まとめ:代案学校卒業生の韓国社会の受け入れに課題か


韓国の代案学校は、日本で言うところのフリースクールに相当しそうですが、日本のフリースクールは、一般の学校に馴染めずに不登校になった生徒の受け皿のみとしての印象が強く、しかも未認可の学校が大半だと思われますので(違っていたらご指摘下さい)、韓国の代案学校のような学校が日本でも広まっていけば、一般の学校に馴染めない子供が社会の枠から外れたままになってしまう割合が低くなっていくのではないか、と思います。


ただ、代案学校卒業生の声から見る限り、彼らを受け入れる韓国社会が教育の多様化に追いついていないのが、現代韓国社会の課題であると思います。
教育の価値観だけでなく、社会の価値観も多様化が必要だと感じます。