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2017/09/26

シリーズドイツ連邦議会総選挙2017 Part 4 - 総選挙の結果おさらいと今後の注目点!

2017年10月22日に行われる見通しの衆議院議員総選挙を前に、ドイツ政治一大イベントにも注目していたタケオです。

2017年9月24日にドイツ連邦議会総選挙の投票が行われました!

日本の報道でもニュースになっていますが、自分でもドイツ政治の勉強の意味も込めて、今回の総選挙結果のおさらいを、そして今後の注目点等について書きたいと思います

目次
1. ドイツ連邦議会総選挙の政党別結果
2. ドイツ連邦議会総選挙結果を受けての各政党の反応
3. ドイツ連邦議会総選挙後の注目点
4. 終わりに



ドイツ連邦議会総選挙の政党別結果


ドイツ連邦議会総選挙での第二投票 (Zweitstimme、日本でいう比例票得票率に相当) 得票率及び議席数(今回の全議席数は709)を政党別に紹介します。


ドイツキリスト教民主同盟 (CDU)・バイエルン・キリスト教社会同盟 (CSU) 連合 (Union)

第二投票得票率:33.0%(前回比-8.5%)
獲得議席数:246(前回比-65議席

ドイツを構成する16の連邦州の内14州で第二投票得票率1位と多くの支持を獲得し、議会第一党の座は守ったものの、前回総選挙と比較すると大きく議席数を減らす結果となりました。

主な支持層としては、高学歴者・年金生活者となっています。


ドイツ社会民主党 (SPD)

第二投票得票率:20.5%(前回比-12.5%)
獲得議席数:153(前回比-40議席

前回と同様ブレーメン市で第二投票得票率1位を獲得したものの、全国規模での第二投票得票率は10%以上の大幅減となり、第二次世界大戦後では最悪の結果となりました。

主な支持層としては、労働者・年金生活者・失業者です。


ドイツのための選択肢 (AfD)

第二投票得票率:12.6%(前回比+7.9%)
獲得議席数:94

議会進出条件の第二得票率5%をクリアして結党以来初の議席を果たしただけでなく、他の少数政党を押しのけて議会第三党となりました。

ザクセン州 (Sachsen) においては小選挙区で3議席を獲得し、第二投票得票率でも1位となりました。


主な支持層としては、労働者・失業者・30~40代・旧東ドイツ地域住民です。


自由民主党 (FDP)

第二投票得票率:10.7%(前回比+5.9%)
獲得議席数:80


小選挙区では1つも議席を獲得出来ませんでしたが、議会進出条件の第二得票率5%を上回り、前回総選挙で議席獲得を果たせなかった悔しさを晴らして議席回復を果たしました。

自営業者からの支持を比較的多く集めました。


左翼党 (Die Linke)

第二投票得票率:9.2%(前回比+0.6%)
獲得議席数:69(前回比+5議席


前回総選挙での得票率をほぼ維持して、議席保持に成功しました。

小選挙区でも旧東ベルリン地区 (Ost-Berlin) で4つ、ザクセン州で1つ勝利を果たす等、旧東ドイツ地域からの支持を比較的多く集めました。


同盟90/緑の党 (Bündnis 90/Die Grünen)

第二投票得票率:8.9%(前回比+0.5%)
獲得議席数:67(前回比+4議席


左翼党と同様、前回総選挙での得票率をほぼ維持した結果となりました。


小選挙区は前回と同様ベルリン市 (Berlin) で1つ獲得しています。

高学歴者・25歳以下の若い世代・自営業者から多くの票を得ました。


参考リンク
ドイツ連邦議会総選挙の結果|ドイツ選挙管理委員会(ドイツ語)
ドイツ連邦議会総選挙特設ページ|ARD(ドイツ語)



ドイツ連邦議会総選挙結果を受けての各政党の反応


ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合

首相でありドイツキリスト教民主同盟党首でもあるアンゲラ・メルケル氏 (Angela Merkel) は議会第一党の座を維持したことに対して支持者に感謝の意を示しました。

そして、「これから私たちの前には政党「ドイツのための選択肢」の議会進出という大きなチャレンジが待っている」とした上で次のように述べました。


Wir wollen die Wählerinnen und Wähler der AfD zurückgewinnen durch Lösung vom Problem, durch Aufnehmen ihrer Sorgen, ihrer Ängste zum Teil.ドイツのための選択肢を選んだ有権者に対し、問題解決・不安や不満に対する理解を通じて信頼を取り戻したいと思います。




アンゲラ・メルケル首相、ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教民主同盟連合ドイツ連邦議会総選挙の勝利宣言会見(2017年9月24日)


ドイツ社会民主党

欧州委員会議長からドイツ社会民主党党首に転じるも、議席を大幅に減らしてしまったマルティン・シュルツ氏は、今回総選挙の結果について、「大きな敗北」と認めました。

しかし、これまで連立政権、所謂「大連立」を組んできたドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合との対決姿勢を改めて明確にした上で次のように述べました。


Wir werden sehen, welche Regierung zustande kommt.Wir werden der Regierung in konstruktiver Form als Opposition entgegentreten.どのような政権が誕生するか見極めた上で、その政権に建設的な形で野党として立ち向かう決意であります。





シュルツ氏、ドイツ社会民主党歴史的惨敗を受けての演説(2017年9月25日)


ドイツのための選択肢 (AfD)

アリス・ワイデル代表候補者は、初の議会進出確実を受けての支持者を前にした演説で、ドイツのための選択肢の議会でまず初めに取り組むこととして、アンゲラ・メルケル首相を、政権運営での失政を問う審査委員会 (Untersuchungausschuss) にかけることを支持者に約束しました。




ドイツのための選択肢支持者の前でのアリス・ワイデル氏演説(2017年9月24日)


自由民主党 (FDP)

議席回復を果たした自由民主党党首のクリスティアン・リントナー氏 (Christian Lindner) は、支持者に感謝の意を示した上で、次のように議会再進出への決意を述べました。


Nach einem Scheitern ist ein neuer Anfang möglich.挫折の後に新たな始まりがあります。




自由民主党支持者を前にしたクリスティアン・リントナー氏の演説(2017年9月24日)


左翼党

左翼党代表候補者のザーラ・ヴァーゲンクネヒト氏 (Sahra Wagenknecht) は、「最大の心配事は「ドイツのための選択肢」の議会進出」とし、対極に立つドイツのための選択肢を批判した上で、次のように支持者の前で宣言を行いました。


Wir werden der soziale Oppositionsführer bleiben!社会主義野党の先頭に立ち続けます!




左翼党支持者を前にしたザーラ・ヴァーゲンクネヒト氏の演説(2017年9月24日)


同盟90/緑の党

ドイツ連邦議会での議席を保持した同盟90/緑の党代表候補者であるカトリン・ゲーリング=エッカルト氏 (Katrin Göring-Eckardt) は、ドイツ連邦議会総選挙投票日の翌日、記者団を前に次のように述べて、ドイツのための選択肢の議会進出に対する民主主義への危機感を口にしました。


Es gibt erstmal die Aufgabe der Demokratin und Demokraten deutlich zu machen "Wir sind die große Mehrheit."民主主義の国に暮らす人にとって先ずはっきりさせるべきことは、「私たちは多くの票を勝ち取った」ということです。




同盟90/緑の党代表候補者カトリン・ゲーリング=エッカルト氏の記者団とのインタビュー(2017年9月25日)


ドイツ連邦議会総選挙後の注目点‐連立政権の組み合わせ


ドイツ連邦議会総選挙後の注目点としては、どのような連立政権が組まれるのか、ということです。

ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合が第一党となったものの、予算案や法律成立等議会をスムーズに運営するには、議席の過半数以上(355議席以上)となるような連立パートナーが必要になってきます。

先に書いたように、これまでいわゆる「大連立」を組んできたドイツ社会民主党については、現党首のマルティン・シュルツ氏が拒否の姿勢を見せているため、ドイツメディアの間では、自由民主党・同盟90/緑の党との連立が現実的との見方が多数となっています。

ちなみに、この3党の連立は、それぞれの党のイメージカラー(ドイツキリスト教民主同盟:黒、自由民主党:黄、同盟90/緑の党:緑)をとって、「ジャマイカ連立 (Jamaika Koalition) 」と呼ばれています。

しかし、この組み合わせでも、環境政策を中心に各政党間の立場の違いが大きく、連立交渉は困難を極めそうです。



終わりに‐メルケル首相はドイツのための選択肢投票者の信頼を取り戻せるのか?


今回のドイツ連邦議会総選挙結果で興味深かったのは、2つの巨大政党の減少分が、ドイツのための選択肢或いは自由民主党の増加分に繋がっているということです。

このことから、「大連立」の政策に失望したり不満を持ち始めたりした有権者が、前回の総選挙で議員を送り込めなかった、より保守傾向の強い政党に支持を変えた、という見方をすることが出来ると思います。

このことから、アンゲラ・メルケル首相も自身で述べていたように、ドイツキリスト教民主同盟にとっては、ドイツのための選択肢への投票に流れた有権者のことを理解し、信頼を取り戻せるか、が今後の重要なカギになって行くと思われます。

一方で、メルケル氏は現在63歳、次回2021年の総選挙では67歳となり、2005年以来12年間首相の座に就いているメルケル氏の有力な後継者が流石に現れないと、党の趨勢に関わって来る可能性があると思っています。

しかし、先の大戦での敗戦・東西分断を経験したドイツだからこそ生まれた「寛容精神」、昨今では難民の大量受け入れで話題となった「ウェルカム文化 (Wilkommenskultur) 」の精神は崩して欲しくないと願っています。

僕がベルリンに滞在していた2015年というのは正に難民の大量受け入れ時期と重なり、トップニュースは毎日難民関連という程、「難民」がキーワードになった社会状況でした。

そんな中で人道支援優先としたメルケル首相の難民受け入れの決断は、旧東ドイツで生まれ育ち、民主化運動に参加していたメルケル首相だからこそ出来たことだと感じていました。

不寛容な雰囲気がドイツだけでなく全世界中で蔓延している中で、難民及び移民のドイツ社会への溶け込み、また経済成長と福祉の充実の両立は非常に難しいですが、次回総選挙までの4年後にそれがどれだけドイツの中で進むのか、或いは後退するのか、ドイツ語学習者として注目して行きたいと思います!

2017/09/17

シリーズドイツ連邦議会総選挙2017 Part 3 - 総選挙でのドイツ政党の公約比較、そして注目点についておさらい!

ドイツのアンゲラ・メルケル (Angela Merkel) 首相を直で拝見したことのあるタケオです。

2017年9月24日のドイツ連邦議会総選挙投票日まであと1週間です!

そこで今回はシリーズドイツ連邦議会総選挙2017 Part 2で紹介したドイツの政党の選挙公約、いわゆるマニフェストについて見ていきたいと思います。

比較対象の政党は以下の通りです。


ドイツキリスト教民主同盟 (CDU)・バイエルン・キリスト教社会同盟 (CSU) 連合
ドイツ社会民主党 (SPD)
左翼党 (Die LINKE)
同盟90/緑の党 (Bündnis 90/Die Grüne)
自由民主党 (FDP)
ドイツのための選択肢 (AfD)


ドイツキリスト教民主同盟とバイエルン・キリスト教社会同盟はウニオン (Union) と呼ばれる連立を組んでいて、選挙公約も共同で作成しています。

そのため、ドイツキリスト教民主同盟 (CDU)・バイエルン・キリスト教社会同盟 (CSU) 連合として一まとめで紹介します


参考リンク
全政党選挙公約(マニフェスト)一覧|バーデン=ヴュルテンベルク州政治教育センター(ドイツ語)


目次
1. 経済政策
2. IT政策
3. 労働政策
4. 教育・福祉政策
5. 環境問題対策
6. 難民・移民受け入れ政策
7. 内外政治政策
8. 終わりに‐ドイツ連邦議会総選挙の注目点



経済政策


ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合

○電気車交通網 (Elektromobilität) ・自動運転車 (Automobil) 等、次世代自動車産業の発展加速
○道路・鉄道等インフラ整備の積極推進
○デジタル分野の小企業、いわゆる「スタートアップ (Start-up) 」企業創業者への公的支援
○2025年までに、国内総生産 (Bruttoinlandsproduct) の3.5%を研究費に


ドイツ社会民主党

○中小企業向けに、研究要員の社員を雇えるための「研究費ボーナス (Forschungsbonus) 」支給
○福祉関連職員の賃上げ
○電気車交通網の開発・発展への支援


左翼党

○ドイツ鉄道 (Deutsche Bahn) の再国有化
○自転車道 (Fahrradweg)・歩道 (Fußweg) 拡充
○社会福祉分野の財源として、年間収入100万ユーロ以上の人に対する「富裕税 (Vermögensteuer)」導入


同盟90/緑の党

○電気車交通網の開発・発展への支援
○中小企業向けに、研究要員の社員を雇えるための「研究費ボーナス」支給
○エネルギー転換・IT化分野で新たな雇用創出


自由民主党

○大麻 (Cannabis) 違法の中での乱用及び犯罪増加を止めるための、厳正な販売管理及び課税下での、成年への大麻販売許可
○民間の競争原理による電気自動車 (Elektroauto) 開発及び発展(特定の動力源の自動車を禁止せず)
○不動産取得税 (Grunderwerbsteuer) の最大50万ユーロ控除


ドイツのための選択肢

○相続税 (Erbschaftsteuer) 廃止
○「富裕税」導入反対


電気自動車の推進を図っているのが、ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合、ドイツ社会民主党、同盟90/緑の党、自由民主党。

左翼党は、公共交通機関若しくは自転車道・歩道の整備を強く謳っています。

ドイツ社会民主党と同盟90/緑の党は、電気自動車関連やいわゆる「研究費ボーナス」導入で政策が共通しています。

ユニークなのは、自由民主党の大麻合法化でしょうか。

ドイツのための選択肢は、特定の分野への開発投資ではなく、税負担軽減政策に重きを置いています。



IT政策


ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合

○鉄道きっぷの電子化。
○グラスファイバーによる「5G」通信網の整備。
○「市民ポータル (Bürgerportal) 」を通じての各種公共手続き簡素化。
○大学を含めたドイツ全学校のインターネット連携


ドイツ社会民主党

○公共交通の電子ネットワーク化


左翼党

○各種学校において、無線LAN等通信網整備加速
○介護現場でのロボット導入反対


同盟90/緑の党

○農業分野のIT化「スマートファーミング (Smart Farming) 」推進


自由民主党

○IT教育機器購入費用として、高校生までの生徒に今後5年間で一人当たり計1,000ユーロ支給
○「デジタル省 (Digitalministerium) 」創設


ドイツのための選択肢

○ブロードバンド拡充



現与党であるドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合が新たな産業分野としてIT分野に注目し、様々な政策を打ち出すことを公約としています。

同じく経済重視の自由民主党も、「デジタル省」の創設という、他の政党と差別化を図っています。


労働政策


ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合

○25~35歳で職業訓練 (Ausbildung) を修了していなくても働けるよう法整備。
○両親が失業している若者への経済支援。
○月最大450ユーロまでとなっているアルバイト (Minijob) の賃金の上方修正。
○2025年までに全ての業界の管理職の男女比率を1:1に。


ドイツ社会民主党

○大学教員の女性比率を最低40%に設定
○2025年までに会社役員の男女比率を1:1に
○失業後最大48ヶ月間受け取れる新たな失業手当 (Arbeitslosengeld) の新設 (Arbeitslosengeld Q)

※現失業手当については、下記の日本語資料が参考になりました。
基礎情報:ドイツ(2013年) 2. 雇用・失業対策|独立行政法人労働政策研究・研修機構


左翼党

○現在1時間当たり8.84ユーロの法的最低賃金 (Mindestlohn) を、12ユーロに引き上げ。

○正社員 (Festangestellte) の雇用促進
○派遣労働 (Leiharbeit) 制度廃止


同盟90/緑の党

○週当たり労働時間 (Arbeitszeit) を、労働者自身の状況に応じて30~40時間の間で自由に設定可能なよう制度改正


自由民主党

○週当たり労働時間を最大48時間までに制限


ドイツのための選択肢

○会社全体の派遣労働者 (Leiharbeiter) の割合を15%に制限
○派遣労働者6ヶ月勤務後の正社員登用義務化


労働政策が一番充実しているように感じたのは左翼党。

中道左派と評価されているドイツ社会民主党での具体的な労働政策が案外少なく見え、中道右派若しくは保守路線を走っているドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合の方が具体性を帯びているように感じます。



教育・福祉政策


ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合

○月当たり児童手当 (Kindergeld) を25ユーロ分引き上げ(子供1~2人:192ユーロ→217ユーロ、子供3人:198ユーロ→223ユーロ、子供4人以上:223ユーロ→248ユーロ)
○子供のいる若い夫婦のマイホーム購入へ年間最大1,200ユーロを無償支援(10年間継続)
○家賃適正化のため、2021年までに150万戸の公共住宅創出


ドイツ社会民主党

○家族労働時間制(Familienarbeitszeit、週26~36時間)導入
○子供のいる家庭で、家族労働時間制での要件を満たした場合、親一人につき月150ユーロ支給(最大2年間、シングルマザー若しくはファザー、同性婚家庭も対象)
○保育園への保育料 (Kita-Gebühren) の段階的廃止
○職業訓練に掛かる費用の廃止
○現行67歳となっている年金支給開始年齢 (Renteneintrittalterの、更なる年齢引き上げなし
○父もしくは母と子供を1組として、1組当たり年間150ユーロの「子供ボーナス (Kinderbonus) 」支給(最大2万ユーロまで)
○国立学校でのイスラム教に関する授業実施


左翼党

○月当たり児童手当を一律328ユーロに引き上げ
○介護福祉職10万人新規雇用創出
○今後1年間で250万戸の公共住宅創出
○年金受給開始年齢を現行の67歳から65歳に引き下げ
○月1,050ユーロの「最低年金受給額 (Mindestrente) 」導入


同盟90/緑の党

○シングルマザー・ファザー (Alleinerziehende) 及び同性婚家庭 (Regenbogenfamilien) も、異性家族と同様に様々な支援が受けられるよう、親としての権限を法的に明文化
○100万戸住宅新規創出
○人生設計及び労働環境に応じた年金受給開始年齢のフレキシブル化(最少60歳から)


自由民主党

○連邦州毎に異なる学習要領の統一
○生徒とその親による学校評価制度導入
○人生設計及び労働環境に応じた年金受給開始年齢のフレキシブル化(最少60歳から)


ドイツのための選択肢

○シングルマザー・ファザー非支援対象
○父と母で構成された親だけを家族モデルとする
○国公立学校でのイスラム教に関する授業禁止
○労働開始45年目からの年金受給開始



左派と評されるドイツ社会民主党と左翼党の教育・福祉政策が充実しているように感じます。

特に左翼党の教育・福祉政策は、経済政策で取り上げた「富裕税」を財源にするとしています。

それだけでなく、ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合も、子供を持つ家庭への支援に積極的です。

ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟・ドイツ社会民主党で組まれている現政権、いわゆる「大連立 (Große Koalition) 」が段階的な67歳への引き上げを決定した年金受給開始年齢について、各現野党はそれに代わる年金政策を打ち出しています。

ドイツ社会民主党、同盟90/緑の党、自由民主党が、シングルマザー・ファザー家庭或いは同性婚家庭の尊重を明確にしている一方で、ドイツのための選択肢は従来の父母・子供で構成される家族のみを支援対象としています。



環境問題対策


ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合

○2023年までの原子力発電所 (Atomkraftwerk) 全廃
○特定の自動車を対象とした使用禁止措置なし
○ドイツ全土に電気車交通網及び水素車交通網 (Wasserstoffmobilität) のための充電スタンド又は水素ステーション (Ladesäule) を計5万箇所設置
○2015年締結「パリ協定 (Pariser Klimaschutz-Abkommen) 」を継続支持


ドイツ社会民主党

○2015年締結「パリ協定」を継続支持
○遺伝子組み換え食物 (Gentechnisch veränderte Organismen) の栽培禁止


左翼党

○2016年時点32.3%の自然エネルギー (Erneuerbare Energie) 利用比率を、2020年までに43%達成するための、自然エネルギー拡充への資金投入


同盟90/緑の党

○原子力発電所を2022年までに全て廃炉
○火力発電所 (Kohlekraftwerk) を20ヶ所即廃炉
○2030年までに全ての自動車が排出ガス (Abgas) を出さないような投資の加速
○農場での農薬使用禁止
○遺伝子組み換え食物禁止
○北アフリカ沿岸での過剰漁獲禁止
○動物実験の見直し
○動物性食品(食肉、牛乳、卵等)の飼育・生産過程表示義務


自由民主党

○特定の電力源だけに頼らない、様々な電力源からの電力利用


ドイツのための選択肢

○「脱炭素化 (Dekarbonisierung)」反対
○火力発電所・原子力発電所の稼働継続
○ディーゼル自動車 (Dieselfahrzeuge) の使用継続
○風力発電機 (Windenergieanlage) の増設取り止め


環境保護について思い切った姿勢を見せているのは同盟90/緑の党。

ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合、ドイツ社会民主党、左翼党は中道の環境保護路線と見て取れます。

自由民主党は環境問題についての明確な政策は打ち出していない一方、環境保護のほぼ反対路線に向かっているのがドイツのための選択肢と言えるでしょう。



難民・移民受け入れ政策


ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合

○移住してきた専門職者 (Fachkräfte-Zuzug) への課税
○EU加盟国として、EUとしての難民に関する協定を、トルコ以外の関係国とも締結することを推進
○2015年のような大量難民・移民受け入れは今後行わず、違法移住 (Illegale Migration) を減らす政策の実行


ドイツ社会民主党

○難民の諸権利保証
○EU加盟国間での難民の公平な分配 (Verteilung)
○違法移民のEU加盟国への入国阻止を担う機関への支援
○移住してきた専門職者への課税


左翼党

○EU・トルコの難民に関する協定 (EU-Türkei-Abkommen) 廃止
○難民の基本的人権 (Grundrechte) 保障


同盟90/緑の党

○難民の基本的人権保障
○難民の強制帰還 (Zurückkehr) なし


自由民主党

○紛争地域からの難民、基本的人権以上の権利保障なし及び紛争終結後強制帰還
○専門職者の移住歓迎


ドイツのための選択肢

○移民・身元の特定できない難民申請 (Asylbewerbung) 認めず


僕がベルリンに滞在していた2015年に約80万人の難民及び難民を受け入れて以降、彼らに対する保護・保障政策に関する議論が活発になっている中、トルコ系ドイツ人が代表候補者の一人になっている同盟90/緑の党は、難民の強制帰還をさせないことを明確にしています。

一方、程度の差はあれ、高度の知識をもった移民の受け入れを歓迎する政党は多く見られますが、彼らに対して課税対象する政策を打ち出した政党もあります。


内外政治政策


ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合

○トルコは様々な国際問題解決に重要な国家である一方、現状でのEU加盟 (EU-Beitritt) 反対
○ドイツ全土で適用できる警察法 (Musterpolizeigesetz) の検討及び1万5,000人の警察官増強
○連邦軍 (Bundeswehr) の兵士1万8,000人増強
○イスラム教徒又は施設へのヘイト行為 (Hass) への罰則
○EU外から移住してきた両親がドイツで産んだ子供の子供以降(移民3世以降)に対する二重国籍 (Doppelte Staatsbürgerschaft) 廃止


ドイツ社会民主党

○ドイツ全土で1万5,000人の警察官増強。
○治安維持のための連邦軍動員なし。
○イスラム教徒又は施設へのヘイト行為 (Hass) への罰則
極右勢力による犯罪行為への罰則
○二重国籍の対象者制限なし
○EU及びNATO加盟国以外への三国間武器輸出停止
○ドイツ連邦議会総選挙及び欧州議会議員選挙権の16歳への引き下げ


左翼党

○二国間及び複数国間自由貿易協定 (Freihandelsabkommen) 反対
○EU加盟国を含む国外への武器輸出停止
○海外駐在連邦軍兵士の帰還
○NATOとの協力関係見直し


同盟90/緑の党

○LGBT・ユダヤ教徒・ムスリム・ロマ等あらゆる差別 (Diskriminierung) 解消に向けた努力継続
○二重国籍の対象者制限なし
○治安維持のための連邦軍動員反対
○紛争地域への武器輸出禁止


自由民主党

○イスラム過激派によるテロ対策として、他国情報機関との連携強化
○連邦軍のEU及びNATOへの積極的協力推進
○紛争地域への武器輸出禁止
○二国間及び複数国間自由貿易協定賛成
○LGBTの権利保障


ドイツのための選択肢

○主権国家としてのドイツを取り戻すためとしてのEU脱退 (EU-Austritt)
○基本法改正時にのみ可能となっている国民投票
(Volksabstimmung) の権限拡大
○大統領 (Bundespräsident) の直接選挙制 (Direktwahl) 導入
○議員定数を500に制限
○通貨ユーロから脱退し、新国内限定通貨「ドイツマルク (Deutsche Mark) 」導入
○連邦軍の海外派兵なし
○ロシアとの緊張緩和及び関係強化
○トルコのEU加盟交渉即中止
○兵役義務 (Wehrpflicht) の復活
○二国間及び複数国間自由貿易協定 (Freihandelsabkommen) 反対
○ドイツ企業の発展途上国への進出支援
○刑事責任を問える年齢 (Strafmündigkeitsalter) を満12歳までに引き下げ
○二重国籍を、ドイツで産まれた者のみに限定
○イスラム国家等海外からの投資を通じてのモスク建設反対
○ブルカの公共空間での着用禁止


政治課題において主なキーワードとなっているのが、武器の輸出・二重国籍・連邦軍兵士の海外派兵・LGBTの権利・自由貿易協定への参加です。

基本的傾向としては、右派が武器輸出容認・二重国籍制限・連邦軍の海外派兵容認・自由貿易協定への参加。

左派が、武器輸出禁止・二重国籍容認・連邦軍海外派兵禁止・自由貿易協定不参加です。


また、ドイツのための選択肢は基本的に「主権国家としてのドイツを取り戻すため」として外政への不干渉主義の立場を取っており、国外での要因による不利益を被ることを避けたい姿勢が見て取れます。

しかし、一方でロシアとの関係回復や発展途上国への投資拡大というのは、個人的には外政不干渉の論理から程遠いように見えます。


終わりに‐ドイツ連邦議会総選挙の注目点


今回の総選挙での僕なりの注目点は以下の3つです。


1. ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合とドイツ社会民主党、どちらが第一党になるか?
2. 第三党の座はどの政党に?


世論調査研究機関Infratest dimapの「今日もし選挙の投票日だったら、第二投票 (Zweitstimme) はどの政党に入れるか?」2017年9月14日調査結果によれば、各政党の得票率は次の通りになっています。


ドイツキリスト教民主同盟 (CDU)・バイエルン・キリスト教社会同盟 (CSU) 連合:37.0%
ドイツ社会民主党 (SPD) :20.0%
左翼党 (Die LINKE) :9.0%
同盟90/緑の党 (Bündnis 90/Die Grüne) :7.5%
自由民主党 (FDP) :9.5%
ドイツのための選択肢 (AfD) :12.0%


第一党については、ドイツキリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟連合が、ドイツ社会民主党に1.5倍近くの差をつけて独走状態に入っていますが、単独での過半数は厳しく、スムーズな政権運営に当たっては、ドイツ社会民主党若しくは少数政党との連立が必要な状況になっています。

また、第三党についてはドイツのための選択肢が僅かではありますがリードしており、ドイツ連邦議会での初めての議席獲得だけでなく、10%以上の議席獲得も視野に入っています。

2017年9月24日投票後の選挙結果が如何なるものになるか、注目です!

2016/09/20

ドイツのベルリン市議会選挙でSPDが第1党維持、左翼党・AfDが躍進‐ドイツ発ニュースから

こんばんは、タケオです。
9月18日(日)に、ドイツで州とほぼ同一の行政権限レベルを持つベルリン市で市議会選挙(Landtagswahl)が行われました。
今回は、その結果を伝えるドイツ発ニュースを読んでみたいと思います。
公共放送局の一つであるARD(通称Das Erste、第一放送局)と、大手全国紙の一つであるヴェルト紙(Die Welt)の記事です。


◎選挙結果


ベルリン市の市議会議員選挙は、他の連邦州の州議会選挙と同様に5年毎に行われ、投票数全体に対する対政党得票率に沿って、政党へ議席が配分される仕組みとなっています。
下記ARD記事によりますと、選挙結果は以下の通りでした。


ARD 2016年9月18日ベルリン市議会選挙特設ページ


※政党表記
CDU:Christlich-Demokratische Union Deutschlands、ドイツキリスト教民主同盟
SPD:Sozialdemokratische Partei Deutschlands、ドイツ社会民主党
Grüne:緑の党
FDP:Freie Demokratische Partei、自由民主党
Linke:左翼党
AfD:Alternative für Deutschland、ドイツのための選択肢

投票率66.9%

CDU:17.6%
SPD:21.6%
Grüne:15.2%
FDP:6.7%
Linke:15.6%
AfD:14.2%


前回に引き続き、連邦議会においてドイツキリスト教民主同盟と所謂「大連立(Große Koalition)」を組むドイツ社会民主党が第1党となりましたが、前回選挙からは得票率が7.6%マイナスと、減少率も一番大きい結果となりました。
アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が党首のドイツキリスト教民主同盟も前回比5.7%マイナスと得票率がかなり減りましたが、第2党の座は維持しました。


左翼党とFDPは、それぞれ前回比4.9%と3.9%のプラスとなりました。
前回の選挙では結党されていなかったドイツのための選択肢が14.2%を獲得して第5党となりました。


この結果、5%以上の得票率を獲得した政党に与えられる、ベルリン市議会全160議席の配分は以下の通りとなりました。


SPD:38議席
CDU:31議席
緑の党:27議席
左翼党:27議席
AfD:25議席
FDP:12議席


◎選挙結果についてのヴェルト紙の今後の予測


これまでベルリン市議会では、SPD・CDUがいわゆる「赤黒連立(Rot-Schwarze Koalition」を組んで市政府を運営してきましたが、今回の選挙結果によって、2党を合わせても過半数の81議席に届かないため、第1党となったSPDは新たな連立構図を模索する必要に迫られています。
連立構図に関して、下記ヴェルト紙記事では以下の予測をたてています。


2016年9月19日付ヴェルト紙 「ベルリン市議会議員選挙 SPD第一党も議席大幅減」


Für eine Regierungsbildung ist sie(Die SPD) künftig auf zwei Partner angewiesen, am wahrscheinlichsten war ein linkes Dreierbündnis
SPDは2つの他政党と連立を組むことになるが、左派3党による連立政権を目論むとみられる


ここで言及されている左派3党とは、SPD・緑の党・左翼党のことを指しています。
SPDからみて、CDUとは主に難民問題を巡って距離を置き始めている一方、緑の党と左翼党とは難民問題政策の修正を主張している点で一致しているので、SPD・緑の党・左翼党の3党連立になる、と予測していると思われます。


◎終わりに


僕は選挙特設ページの分析を見て、興味深いと感じたのは以下の3つです。
①難民の流入で治安が悪化したと考えている有権者の多くが、ドイツのための選択肢に投票。
②CDU・SPDを除くと、旧西ベルリン地域では緑の党、旧東ベルリン地域では左翼党・ドイツのための選択肢に高い支持率
③左翼党に投票した有権者の約80%が、「社会の不公平是正」を理由に左翼党に投票した、と回答。
④緑の党の主な支持層は高学歴で若年層、ドイツのための選択肢は低学歴で高年齢層


これらをひっくるめて評価するならば
①社会の不公平を感じている旧東ベルリン地域の有権者を中心とした投票が、左翼党の躍進に繋がった。
②現政権の難民政策に不満を持つ有権者を中心とした投票が、ドイツのための選択肢の議席大幅獲得に繋がった。

と言えるのだと思います。


今年3月に行われたドイツ3州議会選挙2週間前に行われたメクレンブルク=フォアポンメルン州議会選挙では、旧東ドイツ地域でのみドイツのための選択肢の躍進傾向がみられましたが、今回のベルリン市議会選挙では、(旧東ドイツ地域があるとはいえ)ベルリンといった大都市でも、難民問題を中心に、メルケル政権の政策に不満を持っている有権者が多いことが浮き彫りになりました。


これからの州議会選挙又は来年2017年の秋に行われる総選挙(Bundestagswahl)でドイツのための選択肢がどれほどの存在感を示すのか、それにメルケル首相がどう臨んでいくのかがこれからの注目点だと思います。

2016/09/06

ドイツのメクレンブルク=フォアポンメルン州議会選挙の結果について‐ドイツ発ニュースから

こんばんは、タケオです。
9月4日(日)に、ドイツ北東部にあるメクレンブルク=フォアポンメルン州(Land Mecklenburg-Vorpommern)で州議会選挙(Landtagswahl)が行われました。
今回は、その結果を伝えるドイツ発ニュースを読んでみたいと思います。
公共放送局の一つであるARD(通称Das Erste、第一放送局)の記事です。


ARD 2016年9月4日メクレンブルク=フォアポンメルン州議会選挙特設ページ
2016年9月5日付ARD 「独メルケル首相 選挙結果責任認める」


◎メクレンブルク=フォアポンメルン州について


今回州議会選挙が行われたメクレンブルク=フォアポンメルン州は、旧東ドイツに位置し、ポーランドにも接しています。
バルト海に面していることがあり、リューゲン島(Rügen)やウーゼドム島(Usedom)等観光資源が多い州です。
州都はシュヴェーリン(Swerin)で、他の代表的都市としては、ハンザ同盟加盟都市であったロストック(Rostock)やヴィスマル(Wismar)が挙げられます。


◎選挙結果


ドイツの連邦州の州議会選挙は5年毎に行われ、投票数全体に対する対政党得票率に沿って、政党へ議席が配分される仕組みとなっています。
参考記事によれば、選挙結果は以下の通りでした。

※政党表記
CDU:Christlich-Demokratische Union Deutschlands、ドイツキリスト教民主同盟
SPD:Sozialdemokratische Partei Deutschlands、ドイツ社会民主党
Grüne:緑の党
FDP:Freie Demokratische Partei、自由民主党
Linke:左翼党
AfD:Alternative für Deutschland、ドイツのための選択肢

投票率61.6%

CDU:19.0%
SPD:30.6%
Grüne:4.8%
FDP:3.0%
Linke:13.2%
AfD:20.8%


前回に引き続き、連邦議会においてドイツキリスト教民主同盟と所謂「大連立(Große Koalition)」を組むドイツ社会民主党が第1党となりました。
前回の選挙では結党されていなかったドイツのための選択肢が第2党となり、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が党首のドイツキリスト教民主同盟は僅差ながら第3党に転落しました。


この結果、5%以上の得票率を獲得した政党に与えられる、メクレンブルク=フォアポンメルン州議会全71議席の配分は以下の通りとなりました。

SPD:26議席
AfD:18議席
CDU:16議席
Linke:11議席


◎選挙結果についての独政治家の反応


メルケル首相はG20が開催されている中国・広州で記者団に対し、選挙結果について自身の責任を感じつつも、現在の経済政策や移民・難民受け入れ等政策を維持する、と答えました。

In den Augen der Menschen kann man das nicht trennen, deshalb fühle ich mich natürlich auch verantwortlich.
Ich halte dennoch, die Enscheidungen, die sie in den vergangenen Monaten getroffen wurden, für richtig. 
Jetzt müssen wir daran weiter arbeiten.
(難民問題は)切り離せない重要課題ですから、(今回の選挙の結果について)私も責任を感じています。
しかし、これまでの過去数ヶ月間に下した決断は正しいと思っています。
これからも引き続き努力しなければと思っています。


一方、連立パートナーであり、今回の選挙で第1党の座を維持したドイツ社会民主党のジグマール・ガブリエル党首は次のように述べてメルケル首相を批判しました。

Einfach nur wiederholen 'Wir schaffen das', ohne es auch zu machen, das ist unsere Kritik
何もしないで「私たちはできる」と繰り返し言うのは簡単。
これが私たちの意見です。


◎終わりに


僕は選挙特設ページの分析を見て改めて、興味深いと感じたのは以下の3つです。
①失業者の多くがドイツのための選択肢に投票している。
②ドイツのための選択肢に投票した人の多くが、州議会において民主主義が機能していないと考えている。
③ドイツのための選択肢に投票した人の多くは、イスラム信者・経済のグローバル化を脅威に感じている。


これらをひっくるめて評価するならば
①メクレンブルク=フォアポンメルン州の失業者の多くは、失業の原因を移民・難民及びその中で多くの割合を占めるイスラム信者に求めている。
②これまでの州議会において失業対策が十分に行われなかったことを不満に感じ、新規極右政党であるドイツのための選択肢に票を投じた。

と言えるのだと思います。


ドイツ3州議会選挙の結果と、それに対する論説について‐ドイツ発ニュースからでも書いた通り、未だにドイツのための選択肢の主張には人道的観点がなく、更には「移民・難民の受け入れ反対」ということのみを強調しているだけで、受け入れを拒否した移民・難民を、他国と強調してどうやって扱うのか、他の先進国に漏れず少子化が進む中、どうやってドイツ経済・社会を維持していくのか、という具体的政策を示せていないように思えますが、それよりも失業者は不満の方を大きく感じているようです。


個人的には悲しいことだと思っていますが、これからの州議会選挙又は来年2017年の秋に行われる総選挙(Bundestagswahl)でドイツのための選択肢がどれほどの存在感を示すのか、それにメルケル首相がどう臨んでいくのかがこれからの注目点だと思います。

2016/07/30

仁川の月尾島にある韓国移民史博物館を見学してきた!

こんばんは、大学時代は移民を研究するゼミに所属していたタケオです。
朝鮮半島に出自を持つ人は、朝鮮半島のみならず、日本・中国・米国を中心に数多くいますが、彼らを取り巻く歴史を取り扱った韓国移民史博物館(한국이민사박물관)があるということで、この博物館を訪ねてみました。


◎韓国移民史博物館


韓国移民史博物館は、1902年に当時大韓帝国政府が公式に認可した移民102人が現在の仁川広域市(인천광역시)から米国のハワイへ出発したことを記念し、2008年6月13日に同市の月尾島(월미도、ウォルミド)に開館した博物館です。


韓国移民史博物館

◎第1展示室


第1展示室では、韓国移民の概略、1905年の当時大韓帝国政府公式認可移民が送り出された背景・状況等が紹介されています。







1910年~1944年にかけての朝鮮人移民の概略紹介には「国を失った鬱憤を後にし」と書かれています。


韓国移民の概略で展示されていた、戦中に日本の炭鉱で働いていた朝鮮人の写真。
「炭鉱に強制動員された韓国人たち」と紹介されています。
写真を見る限り、現北海道上砂川町にあった三井砂川炭鉱の写真と思われます。





初公式移民送出当時の状況紹介。
「ハワイへの移民を決行したのには、貧困という経済的要因、そして不安定な情勢から抜け出そうという政治的・社会的要因があった」と書かれています。


当時ハワイの情勢と、移民を斡旋した人物の紹介。
「1882年中国人排斥法が通過し、中国人を雇用できなくなった。
この影響で日本人移民が急増したが、労働運動が組織展開され、農場主が日本人の移住を抑制するに至った。
このような状況の中で、農場主は朝鮮人労働者を選択することとなったのである。」

移民募集の状況。
仁川をはじめとした都市を中心に募集をかけたものの、儒教に基づく家族主義が強い朝鮮人においては、いくら経済的・社会的要因があっても、故郷を離れてまで生活しようという人は多くなく、応募は少数に留まったそう。
そこで、米国人牧師が教会周辺の人に説明して、何とか人を集めたそうなのですが。。。


1902年に政府公式認可移民102人がハワイへ向けて出発。
途中健康検査の過程で離脱者が出て、最終的には86人がハワイの地を踏んだそう。


公式認可移民は、仁川から日本の客船玄海丸に乗船して長崎に寄港。
長崎から米国客船ゲーリック号に乗ってハワイに上陸したそう。
ここでも実は日本が関わっているんですね。


朝鮮半島からの移民到着を伝えた当時のハワイ新聞


◎第2展示室


第2展示室では、1900年代序盤~中盤にかけて米国に定着した朝鮮人移民の当時の生活ぶりが紹介されています。


ハワイでの朝鮮人移民に割り当てられた家での生活の様子を再現。


当時の移民は男性が殆ど。
彼らの結婚問題を解決するために送り出された女性たちがいたそう。
日本からの移民の例では彼女たちのような例は「写真花嫁」と呼ばれていますが、ここでは「写真新婦」と紹介されています。


「写真花嫁」としてハワイに送り出された1人の朝鮮人のパスポート。
発行年が1912年ということで、日本語で書かれています。


朝鮮人移民の米国定着に大きな役割を果たしたというキリスト教会。
後に大韓民国初代大統領となる李承晩(이승만、イ・スンマン)も1918年にハワイで朝鮮人移民のための韓人基督教会(한인기독교회)を設立したそう。


当初ハワイのみだった米国への移民は、その後米国本土各地にも広がっていったそう。
写真たちは当時の移民の生活を映した写真。
一番左上はアメリカ本土への移民の入り口であった、ニューヨークにあるエリス島(Ellis Island
)の移民局。
移民局は現在移民博物館となっていますが、僕もニューヨークに行った際に訪れました。


◎第3展示室


第3展示室では、中南米への朝鮮人移民の歴史が紹介されています。


1905年に初めてメキシコに渡った朝鮮人移民1,033人についての紹介。
これは4年間の強制労働契約を伴った不法移民だったそうで、1909年に解放された後も確固たる生活基盤を築けなかった一部の人たちはキューバへ渡ったそう。


戦後もメキシコへの移民は継続的に発生し、現在は約15,000人の移民が住んでいると推定されるそう。


朝鮮半島→メキシコ→キューバと渡った移民の紹介。
1959年キューバ革命により交流が断絶されたとありますが、昨年2015年の米国・キューバ国交回復により、キューバへの移民と韓国との関係がどうなるか注目されます。


太平洋戦争終結直後中南米に渡った韓国人のパスポート等


ブラジル移民の紹介。
戦中の在日朝鮮人の一部や、朝鮮戦争時に捕虜となった共産主義者がブラジル移民の中心ということで、日本ほどは多くないようです。


アルゼンチンへの移民の始まりは、1960年代の韓国の経済難による人口過剰問題解決のための、政府の移民奨励策だそう。
これは日本の米国ハワイやブラジルへの移民の背景と類似しています。


パラグアイ移民のために発行された新聞




◎まとめ


僕は午後4時から入館しました。
それほど規模の大きい博物館ではありませんでしたが、館内で無料WI-FIを使うことができるため、途中で気になったことを調べたり、持っていたiPadに写真を転送したりもしたため、2時間程館内にいました!
僕の個人的な印象として、歴史的背景の影響があって、在日韓国・朝鮮人に関する記載が非常に少ないのは残念ですが、近現代朝鮮半島の歴史の一端を知る上で非常に興味深い内容となっていますと思います。
仁川の月尾島を訪ねる際には是非見学してみてはいかがでしょうか!


韓国移民史博物館

○行き方
首都圏電鉄1号線(수도권전철1호선)仁川駅(경복궁역)1番出口から市内バス45番に乗り、海事高等学校・韓国移民史博物館(해사고등학교.한국이민사박물관)下車後直ぐ

○開館時間
9:00~18:00

○休館日
毎週月曜日、公休日の翌日、1月1日

○入場料
無料

※公式ウェブサイト
韓国移民史博物館(韓国語)


仁川駅1番出口



仁川駅停留所から市内バス45番に乗ります。


海事高等学校・韓国移民史博物館停留所下車後直ぐのところに博物館があります。

2016/03/14

ドイツ3州議会選挙の結果と、それに対する論説について‐ドイツ発ニュースから

こんばんは、タケオです。
3月13日(日)に、ドイツの3つの州で州議会選挙が行われました。
今回は、その結果を伝えるドイツ発ニュースを読んでみたいと思います。
保守系メディアとして知られるフランクフルター・アルゲマイネ紙(Frankfurter Allgemeine Zeitung)の記事です。


2016年3月14日付フランクフルター・アルゲマイネ紙論説 伝統ある政党の敗北(Die Niederlage der Volksparteien)


州議会が行われた州



今回州議会選挙が行われた州は以下の3つです。


○バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg)
シュヴァルツヴァルト(Schwarzwald、黒い森)が位置し、独有名自動車企業が本社を置くシュツットガルト(Stuttgart)を州都とする。

○ラインラント=プファルツ州(Land Rheinland-Pfalz)
ドイツ公共放送局ZDFが本局を置き、昨今ではサッカーの武藤嘉紀選手が所属するマインツ05(1.Fußball und Sportverein Mainz 05)の本拠地としてもお馴染みのマインツ(Mainz)を州都とする。

○ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt)
旧東ドイツに位置し、マグデブルクを州都とする。


選挙結果



ドイツの州議会選挙は、自由ハンザ都市ブレーメン(Freie Hansastadt Bremen)は4年毎、それ以外の連邦州は5年毎に行われ、投票数全体に対する対政党得票率に沿って、政党へ議席が配分される仕組みとなっています。
参考記事によれば、選挙結果は以下の通りでした。

※政党表記
CDU:Christlich-Demokratische Union Deutschlands、ドイツキリスト教民主同盟
SPD:Sozialdemokratische Partei Deutschlands、ドイツ社会民主党
Grüne:緑の党
FDP:Freie Demokratische Partei、自由民主党
Linke:左翼党
AfD:Alternative für Deutschland、ドイツのための選択肢

○バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg)
投票率70.4%

CDU:27.0%
SPD:12.7%
Grüne:30.3%
FDP:8.3%
Linke:2.9%
AfD:15.1%

緑の党が、前回の第2党から第1党に躍進し、独アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が党首のドイツキリスト教民主同盟は第1党から転落しました。
前回の選挙では結党されていなかった、ドイツのための選択肢が、連邦議会においてドイツキリスト教民主同盟と所謂「大連立(Große Koalition)」を組むドイツ社会民主党を抜き第3党となりました。

○ラインラント=プファルツ州(Land Rheinland-Pfalz)
投票率61.8%

CDU:31.8%
SPD:36.2%
Grüne:5.3%
FDP:6.2%
Linke:2.8%
AfD:12.6%

「大連立」を組むドイツキリスト教民主同盟・ドイツ社会民主党の第2党・第1党の状況は維持されました。
前回の選挙では結党されていなかった、ドイツのための選択肢が第3党となり、前回第3党だった緑の党が第5党に転落しました。

○ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt)
投票率61.1%

CDU:29.8%
SPD:10.6%
Grüne:5.2%
FDP:4.9%
Linke:16.3%
AfD:24.2%

ドイツキリスト教民主同盟の第1党は変わりませんでしたが、前回の選挙では結党されていなかった、ドイツのための選択肢が第2党となり、前回第2党だった左翼党が第3党に転落しました。


選挙結果についての独新聞政治担当記者の論説



以上の選挙結果について、フランクフルター・アルゲマイネ紙のマルクス・ヴェーナー(Markus Wehner)政治担当記者は次のような論説を掲載しています。


Angela Merkel wird nicht zurücktreten nach diesem Wahlsonntag.
Und Sigmar Gabriel wird es auch nicht tun.
Die große Koalition in Berlin wird weiter regieren.
Schließlich waren es ja Landtagswahlen.
Aber eben nicht nur. Abgestimmt wurde auch über die Bundesregierung und deren Flüchtlingspolitik.
アンゲラ・メルケル首相は選挙結果を受けて辞任はせず、ジグマール・ガブリエル(副首相・経済エネルギー大臣・ドイツ社会民主党党首)も現職務からは下りない。
「大連立」は維持されることとなる。
今回は州議会選挙ではあったものの、単なる州議会選挙に留まらず、政府の難民問題対策が争点となった。

CDU und SPD weisen nun auf ihre Erfolge in dem einen oder anderen Land hin.
Das soll das Ausmaß einer Niederlage bemänteln, die an das Selbstbewusstsein geht.
Denn die Verlierer dieser Wahlen sind Schwarz und Rot, die Volksparteien der Bundesrepublik.
ドイツキリスト教民主同盟とドイツ社会民主党は今回の選挙結果を単純に受け入れている。
しかしそれは認識するべき敗北の衝撃をごまかすことに他ならない。
今回の選挙の敗北者は、ドイツの伝統ある政党である赤黒(ドイツ社会民主党の愛称)なのだ。

In diesen fünf Ländern, die mehr als 30 Millionen Einwohner haben, ist die SPD nur noch eine 10-15-Prozent-Partei.
Das hat viele Gründe, Sigmar Gabriel ist es wohl nicht.
Doch Rückenwind aus Berlin hat er seiner Partei auch nicht beschert.
(バーデン=ヴュルテンベルク・ザクセン=アンハルト・バイエルン・チューリンゲン・ザクセンの)5つの州で合計3,000万人が住んでいることになるが、この5つの州で10~15%しか得票率を得ていない。
この結果については、ジグマール・ガブリエル党首を好まない幾つかの要因がある。
しかし彼はベルリンから吹いている辞任要求を突っぱねている。

Der große Wahlsieger freilich ist die AfD.
Sie hat die Skepsis vieler Bürger gegenüber der Flüchtlingspolitik der Bundesregierung für sich nutzen können, hat Protest- und Nichtwähler gewonnen.
今回の選挙の勝者はドイツのための選択肢だ。
多くの国民が難民問題への独政府の対策に疑問を感じていることを利用し、難民受け入れ反対派や無党派層の支持を獲得した。

Es ist wahrscheinlich, dass ihre Erfolge geringer ausfallen werden, wenn die Flüchtlingsfrage an Bedeutung verliert.
Allerdings hat die AfD gezeigt, dass sie andere Protest-Themen aufgreifen kann.
Und das Thema Migration und Integration wird brennend bleiben.
難民問題が争点化しなくなれば、今回の結果の影響は小さくなるだろう。
しかし、ドイツのための選択肢は他に争点となっている問題に対する声を拾い上げることができることを示した。
そして移民・統合のテーマはドイツ政治の火種のままになるだろう。


この政治担当記者は選挙結果について、州議会選挙ではあったものの、ドイツ全土で論争となっている難民問題が第一の争点となったことで、現在メルケル政権に対する批判の声が高まっている中で、「大連立」を組むドイツキリスト教民主同盟・ドイツ社会民主党が敗北し、ドイツのための選択肢が難民受け入れ反対者の心を掴んで得票率を伸ばした、と分析しています。


終わりに:選挙結果についての考え



僕は今回の選挙結果、特にドイツのための選択肢が躍進したことについて、非常に残念に感じています。
ドイツのための選択肢の主張には人道的観点がなく、更には「移民・難民の受け入れ反対」ということのみを強調しているだけで、受け入れを拒否した移民・難民を、他国と強調してどうやって扱うのか、他の先進国に漏れず少子化が進む中、どうやってドイツ経済・社会を維持していくのか、という具体的政策を示せていないように思えるからです。
ドイツも、アメリカほどではないにしろ、トルコからの移民をはじめ、既に多くの移民・難民が住んでいる国であるので、ドイツがこれ以上移民・難民に対して厳しい視線を向けないことを願うばかりです。

2016/02/21

欧州のシェンゲン協定が存続の危機に?‐ドイツ放送局のニュースから

欧州内の政策として特筆すべきものの一つであるシェンゲン協定(Schengen Agreement)。
そのシェンゲン協定が存続の危機に瀕しているというドイツ放送局発ニュースに接しましたので、そのニュースの内容を紹介したいと思います。
引用元はドイツ国際放送局ドイッチェ・ヴェッレ(Deutsche Welle、ドイツ語で「ドイツの波」という意味)Youtube公式チャンネルの動画ニュースからです。


◎シェンゲン協定とは?


シェンゲン協定とは、批准国間の出入国審査を省くことで人々の移動の自由を保障し、また短期間滞在ビザ・難民申請・国境管理が批准国間共通の規則・手続きによって行われるよう規定した協定のことです。


シェンゲン協定批准国内で求められる主要規則は以下の6つです。

同協定批准国内の出入国審査撤廃
同協定批准国外からの人々の出入国の共通規則導入
短期間滞在ビザ関する必要条件又は規則の一致
各国間警察の協力体制強化
各国間法的協力強化
シェンゲン情報システム(SIS, Schengen Information System)の設置と発展


1985年ルクセンブルクのシェンゲンという町にてフランス・(当時西)ドイツ・ベルギー・ルクセンブルク・オランダが最初にこの協定に合意、その後順次批准国が増加して、2016年2月現在では計26ヶ国がこの協定に批准しています。

批准国(アルファベット順)
オーストリア・ベルギー・ブリガリア・キプロス・チェコ・デンマーク・エストニア・フィンランド・フランス・ドイツ・ギリシャ・ハンガリー・アイスランド・イタリア・ラトビア・リヒテンシュタイン・リトアニア・ルクセンブルク・オランダ・ノルウェー・ポーランド・スロベニア・スロバキア・スペイン・スウェーデン・スイス

※参考リンク
シェンゲン圏及び協力状況(The Schengen area and cooperation)


◎シェンゲン協定が崩れかかっている!


ところが、このシェンゲン協定に崩壊の危機が訪れていると言います。
ドイッチェ・ヴェッレの経済ニュースでは以下のような分析がなされています。




Aufgrund des Flüchtlingsandrangs geriet das Schengen-Abkommen allerdings ins Wanken.
Die Europäer fühlen sich überfordert.
Es gibt Streit um die Flüchtlingspolitik.
An einzelen Grenzen wird bereits wieder kontrolliert und so den Flüchtlingsandrang einzudämmen.
Bald womöglich sogar wieder flächendeckend.
Das wäre das Ende von Schengen.
難民の流入急増で、シェンゲン協定が揺れています。
批准各国は手におえないと感じています。
幾つかの国境で既に管理が始まり、難民の流入を防いでいます。
これから更に多くの国境でこのようなことが起こると見られます。
そうなればシェンゲン協定の終焉といえるでしょう。

Darunter würde besonders Europas Industrieleine.
Sie hat sich auf einen ungehinderten Warenverkehr eingestellt.
Voraussetzung für die sogenatte just-in-time-Produktion.
Beispiel Volkswagen, Motoren kommen aus Ungarn und werden zu festgelegten Zeiten ans Band in Deutschland geliefert.
Teure Lagerhaltung ist überflußig.
Grenzkontrollen und Staus würden das eingespielte System ins Wanken bringen und viel Geld kosten.
そうなることで特に影響を受けるのが欧州産業界です。
産業界では滞りのない商品流通システムを整えています。
所謂「ジャストインタイム生産」の前提条件です。
フォルクスワーゲン社を例に説明しましょう。
モーターはハンガリーにある工場で生産され、適正な時間にドイツの組立工場に運ばれます。
高い在庫代を払うことに意味がないからです。
しかし、国境管理や国境付近での渋滞によって、このシステムが機能しなくなり、余計なコストが掛かるかもしれません。

Ist in einem Europa mit Grenzkontrollen eine gemeinsame Währung noch sinvoll, das Frage sich die Experten.
Für die Europäer könnte mit dem Ende von Schengen eine Entwicklung losgetreten werden, an dere Ende der ganz große Traum von einem Vereinten Europa plazten könnte.
国境管理が再開されることで、欧州内単一通貨が意味を成すのかについても、専門家は疑問を呈しています。
シェンゲン協定が終わりを告げることによって、統一欧州の大きな夢だった単一通貨制度も崩れるかもしれません。


欧州内で一番好調な経済状況となっているドイツですが、その大きな要因の一つとして、工場の他の欧州の国への移転があるとするのならば、特に自動車産業が盛んなドイツとしては、シェンゲン協定の崩壊は非常に大きな痛手となり得ます。
(自動車産業に関しては、少なくとも欧州で展開するアジアの自動車会社についても同じことがいえるのですが。)


◎シェンゲン協定崩壊危機の主な要因である難民急増への対策は?


今回シェンゲン協定が崩壊の危機に立たされている主な理由として、欧州への難民申請者の急増が挙げられるわけですが、それへの対策として現在オーストリアやハンガリーや行われている国境管理強化で、果たしてそれだけで難民申請者の数は防げるでしょうか。
僕はそれだけでは絶対に防げないと思います。
なぜなら、難民申請者の増加は、彼らの故郷である中東の政情不安定又はバルカン半島地域の経済状況が困難であることに起因しているため、これらへの根本的対策が行われない限りは、難民申請者の数は減らないからです。
そのため、難民申請者を制限したいのであれば、国境管理強化をむやみに行うのではなく、シェンゲン協定批准各国のみならず、中東・バルカン半島各国も含めての協議・対策作りが求められるのではないのでしょうか。


シェンゲン協定批准各国が約20年間続けてきた政策に関して、継続させるのか否か、注目が集まるところです。