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2016/09/20

ドイツのベルリン市議会選挙でSPDが第1党維持、左翼党・AfDが躍進‐ドイツ発ニュースから

こんばんは、タケオです。
9月18日(日)に、ドイツで州とほぼ同一の行政権限レベルを持つベルリン市で市議会選挙(Landtagswahl)が行われました。
今回は、その結果を伝えるドイツ発ニュースを読んでみたいと思います。
公共放送局の一つであるARD(通称Das Erste、第一放送局)と、大手全国紙の一つであるヴェルト紙(Die Welt)の記事です。


◎選挙結果


ベルリン市の市議会議員選挙は、他の連邦州の州議会選挙と同様に5年毎に行われ、投票数全体に対する対政党得票率に沿って、政党へ議席が配分される仕組みとなっています。
下記ARD記事によりますと、選挙結果は以下の通りでした。


ARD 2016年9月18日ベルリン市議会選挙特設ページ


※政党表記
CDU:Christlich-Demokratische Union Deutschlands、ドイツキリスト教民主同盟
SPD:Sozialdemokratische Partei Deutschlands、ドイツ社会民主党
Grüne:緑の党
FDP:Freie Demokratische Partei、自由民主党
Linke:左翼党
AfD:Alternative für Deutschland、ドイツのための選択肢

投票率66.9%

CDU:17.6%
SPD:21.6%
Grüne:15.2%
FDP:6.7%
Linke:15.6%
AfD:14.2%


前回に引き続き、連邦議会においてドイツキリスト教民主同盟と所謂「大連立(Große Koalition)」を組むドイツ社会民主党が第1党となりましたが、前回選挙からは得票率が7.6%マイナスと、減少率も一番大きい結果となりました。
アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が党首のドイツキリスト教民主同盟も前回比5.7%マイナスと得票率がかなり減りましたが、第2党の座は維持しました。


左翼党とFDPは、それぞれ前回比4.9%と3.9%のプラスとなりました。
前回の選挙では結党されていなかったドイツのための選択肢が14.2%を獲得して第5党となりました。


この結果、5%以上の得票率を獲得した政党に与えられる、ベルリン市議会全160議席の配分は以下の通りとなりました。


SPD:38議席
CDU:31議席
緑の党:27議席
左翼党:27議席
AfD:25議席
FDP:12議席


◎選挙結果についてのヴェルト紙の今後の予測


これまでベルリン市議会では、SPD・CDUがいわゆる「赤黒連立(Rot-Schwarze Koalition」を組んで市政府を運営してきましたが、今回の選挙結果によって、2党を合わせても過半数の81議席に届かないため、第1党となったSPDは新たな連立構図を模索する必要に迫られています。
連立構図に関して、下記ヴェルト紙記事では以下の予測をたてています。


2016年9月19日付ヴェルト紙 「ベルリン市議会議員選挙 SPD第一党も議席大幅減」


Für eine Regierungsbildung ist sie(Die SPD) künftig auf zwei Partner angewiesen, am wahrscheinlichsten war ein linkes Dreierbündnis
SPDは2つの他政党と連立を組むことになるが、左派3党による連立政権を目論むとみられる


ここで言及されている左派3党とは、SPD・緑の党・左翼党のことを指しています。
SPDからみて、CDUとは主に難民問題を巡って距離を置き始めている一方、緑の党と左翼党とは難民問題政策の修正を主張している点で一致しているので、SPD・緑の党・左翼党の3党連立になる、と予測していると思われます。


◎終わりに


僕は選挙特設ページの分析を見て、興味深いと感じたのは以下の3つです。
①難民の流入で治安が悪化したと考えている有権者の多くが、ドイツのための選択肢に投票。
②CDU・SPDを除くと、旧西ベルリン地域では緑の党、旧東ベルリン地域では左翼党・ドイツのための選択肢に高い支持率
③左翼党に投票した有権者の約80%が、「社会の不公平是正」を理由に左翼党に投票した、と回答。
④緑の党の主な支持層は高学歴で若年層、ドイツのための選択肢は低学歴で高年齢層


これらをひっくるめて評価するならば
①社会の不公平を感じている旧東ベルリン地域の有権者を中心とした投票が、左翼党の躍進に繋がった。
②現政権の難民政策に不満を持つ有権者を中心とした投票が、ドイツのための選択肢の議席大幅獲得に繋がった。

と言えるのだと思います。


今年3月に行われたドイツ3州議会選挙2週間前に行われたメクレンブルク=フォアポンメルン州議会選挙では、旧東ドイツ地域でのみドイツのための選択肢の躍進傾向がみられましたが、今回のベルリン市議会選挙では、(旧東ドイツ地域があるとはいえ)ベルリンといった大都市でも、難民問題を中心に、メルケル政権の政策に不満を持っている有権者が多いことが浮き彫りになりました。


これからの州議会選挙又は来年2017年の秋に行われる総選挙(Bundestagswahl)でドイツのための選択肢がどれほどの存在感を示すのか、それにメルケル首相がどう臨んでいくのかがこれからの注目点だと思います。