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2016/11/30

韓国最新政治事情‐韓国検察「崔順実ゲート」関連事件における朴槿恵被疑者としての立件開始から、朴槿恵大統領職早期委譲示唆表明に至るまでの経緯を整理!

こんばんは、韓国政治の混乱を憂うタケオです。
前回の韓国最新政治事情において、韓国の朴槿恵(박근혜、パク・クネ)大統領が「崔順実ゲート(최순실 게이트)」関連疑惑でこれまでにない危機に陥っているとお伝えしましたが、2016年11月29日に朴大統領は、「大統領職任期短縮を含めた進退問題を国会の決定に委ねる」と述べ、大統領職早期委譲を示唆しました。
今回は11月20日の韓国検察朴大統領容疑者としての立件を目的の捜査開始表明から11月29日までの経緯を整理してみたいと思います。


目次
1. 韓国検察、朴槿恵大統領被疑者としての立件を視野に捜査開始
2. 朴槿恵大統領 検察の捜査容認撤回
3. 韓国野党 弾劾訴追案作成準備に入る
4. 「非朴系」議員40人程 弾劾訴追案に賛成?
5. 朴槿恵大統領退陣要求大規模集会に150万人?
6. 「親朴系」議員から「名誉ある退陣」提起
7. 朴槿恵大統領 対国民談話で「進退問題を国会に一任」
8. 終わりに‐韓国政治制度の現状に対する議論も必要


韓国検察、朴槿恵大統領被疑者としての立件を視野に捜査開始



韓国検察は11月20日、「(崔順実氏・安鐘範(안종범、アン・ジョンボム)元青瓦台政策調整主席秘書官他との)共謀関係が認められる部分に関して正式に被疑者として立件した。これからは被疑者とみなしての捜査を進める」と発表しました。


一方で検察は「憲法84条に規定されている韓国現職大統領の刑事不訴追特権により、現職大統領を逮捕・起訴することはできない」と判断し、「被疑者としての立件」となりました。


※参考リンク
ソウル新聞2016年11月20日配信「検察「朴槿恵大統領被疑者立件 賄賂容疑も追加で捜査」(검찰 “박근혜 대통령 피의자 입건…뇌물 혐의 추가로 수사”)」
韓国経済新聞2016年11月20日配信「検察「朴大統領 崔順実等と相当部分共謀 起訴は不可」(檢 "朴대통령, 최순실 등과 상당부분 공모…기소는 불가")」



朴槿恵大統領 検察の捜査容認撤回



検察の朴槿恵大統領被疑者としての立件発表を受け、朴大統領の弁護人ユ・ヨンハ(유영하)氏は、「財団法人ミル(재단법인미르)とKスポーツ財団(K스포츠재단)は「文化育成」と「韓流拡散」という政策目標のための事業であり、崔順実氏の横領は大統領とは無関係」とし、「共謀者とされたことは認められない」とし、朴大統領は、11月4日の「対国民談話」で表明していた検察の自身への捜査容認を撤回し、検察の捜査を拒否しました。


参考リンク
SBS2016年11月20日配信「朴大統領 検察捜査拒否 特別検察には積極的に協力(박 대통령, 검찰 수사 거부…"특검 적극 협조")」



韓国野党 弾劾訴追案作成準備に入る



韓国検察の発表と朴槿恵大統領の検察捜査拒否を見て、野党の共に民主党(더불어민주당)・国民の党(국민의당)・正義党(정의당)の院内代表(日本の国会対策委員長に相当)が11月24日に合同会議を行い、朴大統領に対する弾劾訴追案の作成準備に入ることで合意しました。


早ければ12月2日、遅くとも定期国会(日本での通常国会に相当)最終日の12月9日には採決される、というスケジュールとなりました。


※参考リンク
KBS2016年11月24日配信「野党3党 「弾劾訴追案定期国会内に提出・採決」(야3당 “탄핵소추안 마련 정기국회 내 제출 처리”)」


「非朴系」議員40人程 弾劾訴追案に賛成?



野党が共同で朴槿恵大統領に対する弾劾訴追案作成の準備に入った同日、与党セヌリ党(새누리당、セヌリダン)の中で、金武星(김무성、キム・ムソン)前代表を中心とする朴大統領と距離を置く「非朴系(비박계)」議員の大部分が、弾劾訴追案に賛成する方向だと韓国マスコミが報じました。
一部「非朴系」議員からは、賛成する議員の数が40人に上るだろう、との見方も出ました。


弾劾訴追案の発議には国会議員数3分の2以上の賛成、つまり200人以上の議員が賛成に回らなければならず、野党3党と無所属議員が現在172議席である中で、与党からは少なくとも28人の賛成が必要になります。
そうした中で、弾劾訴追案に賛成する議員が40人ともなれば、28人を大幅に上回る与党議員が造反する形になります。


※参考リンク
京郷新聞2016年11月24日配信「【弾劾案発議秒読み】野党3党 40人余りに上った「セヌリ賛成派」と共同発議推進([탄핵안 발의 ‘초읽기’]야 3당, 40여명으로 늘어난 ‘새누리 찬성파’와 공동발의 추진)」


朴槿恵大統領退陣要求大規模集会に150万人?



「崔順実ゲート」の余波が収まらない中、11月19日・11月26日にはそれぞれ4・5回目の朴槿恵大統領退陣要求大規模集会がソウル特別市(서울특별시)光化門広場一帯(광화문광장)で行われ、特に11月26日行われた集会では、主催者側発表で150万人(警察側発表は27万人)が集まり、「朴槿恵は退陣しろ(박근혜는 퇴진하라)」のシュプレヒコールをあげました。


11月26日での集会では、警察が青瓦台(청와대、日本の首相官邸に相当)から200mまでの人の立ち入りを許可したため、朴大統領にもシュプレヒコールが耳に入らざるを得ない状況でした。


※参考リンク
朝鮮日報2016年11月26日配信「歴代最大規模の集会 衝突なく終わる 主催側150万人 警察側27万人([5차 촛불집회]역대 최대규모 촛불집회 충돌없이 마무리…주최측 "150만명" 경찰 "27만명")」



「親朴系」議員から「名誉ある退陣」提起



セヌリ党「非朴系」議員から弾劾訴追案賛成の意思が出て、与党内の分裂が深まろうとする中の11月28日、朴槿恵大統領に近い「親朴系(친박계)」ベテラン議員から、朴大統領に残りの任期まで務めるより自ら退く「名誉ある退陣」を要求する声が上がりました。


提起した議員の一人は韓国マスコミのインタビューで次のように述べています。


탄핵으로 갈 수밖에 없는 상황인데, 탄핵이 되면 새누리당도 어려워지고 사회가 혼란스러워진다.
헌법재판소 결정이 어떻게 날지 모르지만, 대통령이 직무정지 상태로 계속 가는 건 명예스럽지 못하다, 탄핵으로 가지 않기 위한 방법은 대통령이 스스로 일찍 물러나는 수밖에 없다
弾劾が避けられないだが、弾劾になればセヌリ党も厳しくなり、社会が益々混乱する。
憲法裁判所の決定がどのように下されるかわからないが、大統領が職務停止状態に陥ることは名誉あることではなく、弾劾にならない方法は大統領が自ら早く退く他ない。



※参考リンク
ハンギョレ新聞2016年11月28日配信「親朴重鎮たち 「このままでは弾劾 朴大統領は名誉ある退陣を」(친박 중진들 “이대론 탄핵…박대통령 명예퇴진해야” )」


朴槿恵大統領 対国民談話で「進退問題を国会に一任」



「親朴系」議員の一部から「名誉ある退陣」が飛び出した翌日の11月29日、朴槿恵大統領は対国民談話を開き、「大統領職の任期短縮を含めた進退問題を、国会の決定に一任する。与野党が議論し、国政の空白を最小限にするような、安定した政権移譲の方法が提示されれば、その日程と憲法で定められた日程に従い、大統領職から退く」と述べました。


しかし、自ら退陣を表明するとか、弾劾訴追案の結果を厳粛に受け止めるとか等の明言はなく、与野党間やセヌリ党内の分裂様相を見て少しでも自身への被害を最小限に食い止められるよう、自ら拙速しての判断を避けたのではないか、と僕は見ています。


※参考リンク
JTBC2016年11月29日配信「【3回目対国民談話映像】朴大統領「任期短縮等の進退問題 国会に一任」([3차 대국민담화 풀영상] 박 대통령 "임기 단축 등 퇴진 문제 국회에 맡길 것")」


終わりに‐韓国政治制度の現状に対する議論も必要



朴槿恵大統領は11月4日の対国民談話で検察の捜査に協力するとしながら後に拒否、そして今回の「進退問題国会に一任」表明。
与党セヌリ党は、「非朴系」議員が弾劾訴追案へ賛成に回ると示唆したかと思えば、「親朴系」議員からは「名誉ある退陣」の提起。
野党は、11月12日の朴大統領退陣要求大規模集会に党代表などが参加していながら、状況を鑑みてではあるものの弾劾訴追への道を選ぶなど、「崔順実ゲート」疑惑拡大から広がった朴大統領進退問題の行く末は、既にある意味政治ゲームの様相を呈しているように見えます。


その一方で、僕は、今回朴大統領をこのような行為に走らせた原因が何なのか、今後どういう風に政治制度があるべきなのか、等の議論がなされなければ、また今回と同じような事態が起こり得る、と考えているのですが、そういった議論が深まっているような様子がなく、とても残念に思います。


朴大統領の早期退陣となるのか、弾劾訴追案の行方は、そして韓国の政治体制についての議論が深まるのか、注目です。


現代韓国や朴槿恵氏については、こちらの書籍もご参考に!