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2016/11/18

「崔順実ゲート」疑惑波及拡大の契機となる報道を行ったJTBCとは、そして孫石熙(ソン・ソッキ)JTBC報道担当社長はどんな人物?

こんばんは、最近再び連日韓国のニュースを視聴しているタケオです。
韓国最新政治事情‐JTBCによる「崔順実ゲート」疑惑拡大から、朴槿恵大統領退陣要求26万人大規模集会に至るまでの経緯を整理!にて韓国テレビ局JTBC発ニュースが「崔順実ゲート」疑惑波及の拡大の契機となったと書きました。


JTBCは従来の地上波3社のKBS(한국방송공사、韓国放送公社)・MBC(문화방송、文化放送)・SBSではないテレビ局のため、韓国のことに詳しくない方にとっては馴染みのないテレビ局かと思います。
そこで、今回はJTBC、そしてJTBC専属ニュースキャスターとして抜群の存在感を誇る孫石熙(손석희、ソン・ソッキ)報道担当社長について書こうと思います。


目次
1. 「崔順実ゲート」疑惑拡大の背景にJTBCの存在?
2. JTBCとはどんなテレビ局?
3. 孫石熙JTBC報道担当社長はどんな人物?
4. JTBC「ニュースルーム」でのスクープ報道で、朴槿恵大統領不支持層の怒り爆発?
5. 孫石熙JTBC報道担当社長が局員に向けて送ったメッセージ「謙遜して自重しよう」
6. 終わりに‐韓国のニュースは、JTBCもチェックの必要有り!?


「崔順実ゲート」疑惑拡大の背景にJTBCの存在?



今回JTBCについて書こうと思ったのは、朴槿恵大統領が就任以来最大の危機に陥るきっかけとなった「崔順実ゲート」疑惑拡大の背景に、朴大統領演説文の崔氏への漏洩に関するスクープ報道を行ったJTBCというテレビ局の存在が大きいと考えているからです。


僕は「崔順実ゲート」に関して、正直のところ最初はここまで疑惑が波及して朴槿恵大統領の退陣危機に至るまでには思っていませんでした。
これまでは、大統領在任中に疑惑が報道されたとしても、大規模な退陣要求までには至らず、大統領の任期が終わったあとに捜査が本格化し、関係者が逮捕される、という流れだったからです。


李明博前大統領も、現在の朴大統領と同様若者層を中心に不人気で、自身と関係者の汚職疑惑は出たことはありますが、今回のような大規模な退陣要求は起こりませんでした。


李大統領政権時と朴大統領政権時で何が異なっているかというのは、政治・経済をはじめ様々な分野であるのですが、その中の一つとして挙げられるのが、李明博氏が大統領の任期を終える直前に開局し、地上波3社(KBS・MBC・SBS)と肩を並べるところにまで来ているJTBCの存在なんです。


JTBCとはどんなテレビ局?



JTBCは全国紙の一つである中央日報(중앙일보、チュンアンイルボ)を発行している中央メディアネットワークが所有する総合編成チャンネル(新聞社所有のテレビ局)の一つで、李明博(이명박、イ・ミョンバク)大統領政権末期の2011年12月に開局しました。


尚、他の総合編成チャンネルとしては、朝鮮日報(조선일보、チョソンイルボ)傘下のTV朝鮮(TV조선)・東亜日報(동아일보、トンアイルボ)傘下のチャンネルA(채널A)があります。


JTBCはニュース番組・バラエティー番組・ドラマの制作を行っている他、サッカー韓国代表戦の中継も行うことがあります。
ちなみに、2016年11月15日にソウルワールドカップ競技場(서울월드컵경기장)で行われた韓国×ウズベキスタン戦の中継はJTBCが行っていました。


※参考リンク
韓国大手新聞社の放送事業本格参入から1年―「総合編成チャンネル」はいま―


孫石熙JTBC報道担当社長はどんな人物?



「崔順実ゲート」疑惑拡大の背景にJTBCがあると書きましたが、更にもう一つ、今回の疑惑拡大の背景として欠かせない人物が存在します。
その人物とは、JTBCで報道担当社長を務める孫石熙氏です。


孫石熙氏は1956年にソウルで生まれ、1984年に地上波放送局の一つMBCに入社、長年MBCのニュースキャスターを務めていたということです。
2003年にMBCを退社した後も、誠信女子大学校(성신여자대학교)の教授として教鞭をふるう傍ら、MBCラジオ番組の司会進行をしていたということです。


そんなMBCの看板キャスターだったという孫石熙氏を、JTBCが報道担当社長という破格の待遇で迎え入れたのは2013年。
以降孫石熙氏はJTBCが伝えるニュースの全責任を負う立場であるだけでなく、JTBC夜のニュース番組「ニュースルーム(뉴스룸)」の月曜日~木曜日の司会も担当する等、JTBCに欠かせない存在となっています。


孫石熙JTBC報道担当社長


特に「ニュースルーム」の一コーナーで、孫石熙氏が最近若しくはその日話題となったニュースを基にして2~3分程意見を述べる「アンカーブリーフィング(엥커부리핑)」は、孫石熙氏の豊富な知識とキャスター経験が活かされたコーナーと言えます。


2016年10月25日放送JTBC「ニュースルーム」での「アンカーブリーフィング」の中で、村上春樹著「ノルウェイの森」を取り上げる孫石熙JTBC報道担当社長


孫石熙氏のジャーナリズム論は、2013年10月29日韓国アナウンサー連合会配信「本当に留まるところを知らない、孫石熙JTBC報道兼時事教養担当社長(거침없는, 참 거침없는 손석희 jtbc 보도 및 시사교양 담당 사장)」の中で、MBCアナウンサーからのインタビューを受けた中でも垣間見ることができます。


우리가 상식으로서 얼마든지 판단할 수 있는 것, 일부 사람들이 판단할 수 있는 문제가 아니라 모든 사람들이 공유할 수 있을 만한 것이 뉴스로서 가치가 있다는 것이죠.
저널리즘은 매일매일 기록해나가는 것인데, 뉴스가치의 우선순위를 정한다는 것은 무엇을 어떻게 기록하느냐의 문제가 아닐까 싶고요, 합리적이고 건강한 사람들이 고민해서 기록해 나가면 되는 것이 아닐까 생각합니다.
私たちが常識として幾ばかりか判断できるもの、一部の人たちだけしか判断できないような問題ではなく、全ての人が共有できる程のものがニュースとしての価値があるということですね。
ジャーナリズムは毎日毎日記録してくものですが、ニュース価値の優先順位を決めるというのは、何をどのように記録していくかの問題なのではないか、そして、合理的で健康な人たちが悩んで記録していけば良いのではないかと思います。


※参考リンク
ビジネスポスト2015年1月19日配信「[Who Is ?]孫石熙JTBC報道担当社長([Who Is ?] 손석희 JTBC 보도담당 사장)」


JTBC「ニュースルーム」でのスクープ報道で、朴槿恵大統領不支持層の怒り爆発?



孫石熙氏がJTBC報道担当社長就任し、JTBCが評価を高め始めたのは、2014年に発生したセウォル号(세월호)沈没事故関連の報道を行った時でした。


JTBCは2014年4月に発生したセウォル号(세월호)沈没事故で他の放送局より詳細に報道したとして、地上波3社のKBS・MBC・SBSを凌ぐ高い評価を受けたそうです。


セウォル号沈没事故では朴槿恵大統領をはじめとした韓国政府の事故に対する対応の不適切さが非難の的となりましたが、この時期にJTBCは若者・中年を中心とした朴槿恵大統領不支持層からの信頼を得たと思われます。


「崔順実ゲート」関連では、JTBCが「ニュースルーム」の中で単独スクープとして朴大統領演説文漏洩疑惑の報道を行い、その翌日に朴大統領が疑惑を事実であるとを認め、韓国国民に謝罪する「対国民謝罪(대국민사과)」へと繋がっていきました。


こういった背景を考えると、JTBCのスクープ報道が、これまで不満をためていた朴大統領不支持層の怒りを爆発させ、朴大統領退陣要求に26万人もの人が集まった最大の要因であると言っても過言ではない、と僕は見ています。


JTBC「ニュースルーム」の中で、朴槿恵大統領演説漏洩疑惑のスクープ報道を行う孫石熙JTBC報道担当社長


※参考リンク


孫石熙JTBC報道担当社長が局員に向けて送ったメッセージ「謙遜して自重しよう」



JTBCのスクープ報道以降、翌日の朴槿恵大統領「対国民謝罪」をはじめとして、「崔順実ゲート」疑惑は拡大の一途を辿っています。
こうしてJTBCが再び注目を集めている中で、孫石熙氏JTBC報道担当社長は局員に向けて以下のようなメッセージを送ったとのことです。


이제 이후 jtbc는 또다시 가장 주목받는 방송사가 돼 있습니다.
채널에 대한 관심은 곧바로 구성원에 대한 관심으로 이어집니다.
겸손하고 자중하고 또 겸손하고 자중합시다.
만나는 모든 이들에게 그렇게 해야 합니다.
취재현장은 물론이고, 길가다 스처지나는 사람들에게까지도...
사실 이건 가장 신뢰받는 뉴스로 꼽힐 때부터 하고 싶은 말이었습니다.
제 자신이 잘 실천을 하고 있는지 모르겠으나 jtbc맨이라면 이젠 당연히 그렇게 해야 합니다.
今JTBCは再び一番注目を浴びる放送局になっています。
チャンネルに対する関心は、直ぐに局員に対する関心へと繋がります。
謙遜して自重し、また謙遜して自重しましょう。
出会う全ての人に対してそのようにしなければなりません。
取材現場は勿論のこと、道で通り過ぎる人にも。。。
事実これは一番信頼の置かれているニュースとして選ばれる時から、皆さんに伝えたい言葉でした。
私自身がちゃんと実践できているかはわかりませんが、JTBCマンならば今は当然そのようにしなければなりません。


보는 눈 많고 듣는 귀도 넘쳐다니 언제든 시비거리가 있으면 엄청나게 큰 반발로 우리를 덮쳐 올 것입니다.
게다가 금주 들어 내놓고 있는 단독보도들도 사람들을 속시원하게 하는 면도 있지만 동시에 깊이를 알 수 없는 자괴감에 빠지게도 하는 내용들입니다.
우리는 본의 아니게 사람들에게 치유하기 어려운 상실감을 던져주고 있기도 한 것입니다.
그러니 우리의 태도는 너무나 중요합니다.
見る目が多く、聞く耳も溢れているのですから、是非に関する論争が高まれば、いつでも溢れんばかりの反発として私たちを覆いつくすことでしょう。
更には、直ぐに手元に入ってきて伝えている単独報道も、人々の心をすっきりさせる面もありませんが、同時に内容を深く知ることができないという虚無感にも陥ります。
私たちは無意識の内に、世間に癒されることのない喪失感を与えてしまってもいるのです。
ですから、私たちの態度もものすごく重要なのです。


겸손하고 자중해도 우리는 이미 jtbc맨 이라는 평가를 받고 있으므로 손해볼 것이 없습니다.
그럼...
謙遜して自重しても、私たちは既にJTBCマンという評価を受けているのですから、損害を被ることはありません。
では。。。



※参考リンク
JTBC2016年10月26日配信「連日特集を伝える中JTBC孫石煕社長が局員に伝えたメッセージ(연이은 특종 속 JTBC 손석희 사장이 직원들에게 전한 메시지)」


終わりに‐韓国のニュースは、JTBCもチェックの必要有り!?



個人的には、数年前まではKBS・MBC・SBSのニュースを見れば、韓国社会のことをある程度知ることができると思っていました。
右派・左派の偏りが大きい傾向にある韓国マスコミの中にあって、KBS・MBCは右派寄り、SBSは左派寄りの報道をしていると感じていたからです。


しかし、SBSがKBS・MBCと大差ない報道内容に変わってきて、3社のニュースでは不十分と思うようになってきた中で、JTBCが同系列の中央日報とは思えない程の左派寄りの報道をしてきていることで、今ではJTBCもチェックする対象となるべき放送局であると感じています。


JTBCはニュース部門のYoutube公式チャンネルを持っていて、過去に放送されたニュースだけでなく、韓国で月曜日~木曜日の20:00~21:40に生放送される「ニュースルーム」も生視聴することができます。
韓国語がわかる方は是非視聴してみてはいかがでしょうか!


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