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2017/05/15

ドイツ2つの連邦州の州議会選挙でメルケル首相率いるドイツキリスト教民主同盟が勝利

こんばんは、今年はドイツの政治にも注目しているタケオです。

9月24日(日)に投票が行われるドイツ連邦議会議員選挙(Bundestagswahl)の最後の前哨戦の一つとして、5月8日(日)にシュレスヴィヒ=ホルシュタイン州(Land Schleswig-Holstein)で、5月14日(日)にノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nortrhein-Westfalen)でそれぞれ議会選挙(Landtagswahl)が行われました。



ドイツ連邦議会議事堂(Reichstagsgebäude)。
今回で連邦議会選挙前の地方選挙は全て終了しました。


シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州ついて


シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州は、かつて旧西ドイツに属していた連邦州で、ドイツで一番北に位置し、デンマークと国境を接する連邦州です。

州都はキール(Kiel)で、州全体の人口は約283万人です。

「ホルシュタイン」と聞くと日本人としては牛乳のイメージが先に来るかもしれませんが、近年は風力発電に力を入れていて、2017年4月現在では、約1万5,000平方キロメートルの州面積内、日本でいうと岩手県とほぼ同じ面積内に2,900基程の風力発電機があるそうです。

日本全体の風力発電機設置数が、2015年現在ではありますが約38万平方キロメートルの面積内で2,102基とのことですので、日本より狭い土地の中に相当数の風力発電機があることになります。


※参考リンク
シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州概況|在ハンブルク総領事館
日本における風力発電の状況|NEDO



シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州地図



ノルトライン=ヴェストファーレン州について


ノルトライン=ヴェストファーレン州は、旧西ドイツに位置し、オランダやベルギーと国境を接しています。

州都は、日本企業が多数進出していて、毎年「日本デー(Japan Tag)」が開かれる都市として知られているデュッセルドルフ(Düsseldorf)で、州全体の人口は約1,800万人(2014年現在)と、ドイツを構成している連邦州では最多の人口を誇ります。

大聖堂で有名なケルン(Köln)、香川真司選手の所属するプロサッカーチームのボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)の本拠地として知られるドルトムント(Dortmund)、旧西ドイツの首都で、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig Van Beethoven)の出身地であるボン(Bonn)もこの州にあります。

昔はルール地方(Ruhrgebiet)を代表する鉱業がこの州の経済を潤していて、現在は産業構造の変化によりルール地方は衰退してしまいましたが、エネルギー会社のEon、ドイツテレコム(Deutsche Telekom)、ドイツポスト(Deutsche Post)、薬品会社のバイエル(Bayer)、航空会社のルフトハンザ(Lufthansa)、大手スーパーマーケットチェーンのレーヴェ(REWE)が本社を置く等、ノルトライン=ヴェストファーレン州はドイツ経済の原動力となっているといっても過言ではありません。


※参考リンク
ノルトライン=ヴェストファーレン州|ドイツ連邦共和国大使館・総領事館
図で見るノルトライン・ヴェストファーレン州経済|在デュッセルドルフ日本国総領事館



ザールラント州地図



シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州議会選挙結果


ドイツを構成する連邦州の州議会選挙は5年毎に行われ、投票数全体に対する対政党得票率に沿って、政党へ議席が配分される仕組みとなっています。
下記ARD記事によりますと、選挙結果は以下の通りでした。

ARD 2017年5月7日シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州議会選挙特設ページ

※政党表記
CDU:Christlich-Demokratische Union Deutschlands、ドイツキリスト教民主同盟
SPD:Sozialdemokratische Partei Deutschlands、ドイツ社会民主党
Grüne:緑の党
FDP:Freie Demokratische Partei、自由民主党
Linke:左翼党
AfD:Alternative für Deutschland、ドイツのための選択肢
SSW:Südschleswigsche Wählerverband、南シュレスヴィヒ選挙人同盟

CDU:32.0%
SPD:27.2%
Grüne:12.9%
FDP:11.5%
Linke:3.8%
AfD:5.9%
SSW:3.3%

(投票率64.2%)

前回に引き続き、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相率いるドイツキリスト教民主同盟が第1党となり、得票率も前回から1.6%も上昇しました。

連邦議会においてドイツキリスト教民主同盟と所謂「大連立(Große Koalition)」を組むドイツ社会民主党は、得票率を前回から3.2%落とす結果となりました。

他の政党では、自由民主党は得票率11.5%と前回から3.3%上昇、左翼党は得票率3.8%と、前回と同様議席獲得の条件となる得票率5%に満たなかった一方、ドイツのための選択肢は得票率5.9%を獲得し、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州議会で初めての議席を獲得しました。

尚、ドイツでの少数民族フリース人(Friesen)の政党である南シュレスヴィヒ選挙人同盟は得票率3.3%と得票率5%を満たしていませんが、1955年に発表されたボン=コペンハーゲン宣言(Bonn-Kopenhagener Erklärungen)の中で、ドイツ内のデンマーク系少数民族保護が明確化されていることで、原則の議席獲得条件から除外されています

この結果、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州議会全73議席の配分は以下の通りとなりました。

CDU:25議席
SPD:21議席
緑の党:10議席
自由民主党:9議席
AfD:5議席
SSW:3議席


※参考リンク
フランクフルト・アルゲマイン紙2005年3月29日配信「デンマークとドイツの手によるボン=コペンハーゲン宣言(Bonn-Kopenhagener Erklärung Von Dänen und Deutschen)」

北ドイツ放送協会2015年3月29日配信「ボン=コペンハーゲン宣言60年(60 Jahre Bonn-Kopenhagener Erklärungen)」



ノルトライン=ヴェストファーレン州議会選挙結果


下記ARD記事によりますと、選挙結果は以下の通りでした。

ARD 2017年5月14日ノルトライン=ヴェストファーレン州議会選挙特設ページ

※政党表記
CDU:Christlich-Demokratische Union Deutschlands、ドイツキリスト教民主同盟
SPD:Sozialdemokratische Partei Deutschlands、ドイツ社会民主党
Grüne:緑の党
FDP:Freie Demokratische Partei、自由民主党
Linke:左翼党
AfD:Alternative für Deutschland、ドイツのための選択肢

CDU:33.0%
SPD:31.2%
Grüne:6.4%
FDP:12.6%
Linke:4.9%
AfD:7.4%
(投票率65.2%)

前回第2党だったドイツキリスト教民主同盟が、得票率を6.7%も上昇させて第1党となりました。

その反面、第1党だったドイツ社会民主党は、得票率を前回から7.9%も落とし、第2党に転落しました。

他の政党では、緑の党の得票率が4.9%減った一方、自由民主党は4%上昇、ドイツのための選択肢は得票率7.4%と、ノルトライン=ヴェストファーレン州議会で初めての議席を獲得するだけでなく、緑の党の得票率を上回って4番目に多い議席数を獲得しました。

左翼党は得票率4.9%で、惜しくも議席獲得の条件となる得票率5%を満たせず、議席を獲得出来ませんでした。

この結果、ノルトライン=ヴェストファーレン州議会全199議席の配分は以下の通りとなりました。

CDU:72議席
SPD:69議席
自由民主党:28議席
AfD:16議席
緑の党:14議席


2つの連邦州議会選挙結果を受けての今後の展開


これまで、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州ではドイツ社会民主党・緑の党・南シュレスヴィヒ選挙人同盟の連立による所謂「デンマーク+信号(Dänen-Ampel)」、ノルトライン=ヴェストファーレン州議会では、ドイツ社会民主党・緑の党による所謂「赤緑連立(Rot-Grüne Koalition)」によってそれぞれ州政府が運営されてきました。

しかし、ドイツ複数メディアは、今回の選挙でのドイツキリスト教民主同盟の勝利そしてドイツ社会民主党の敗北を受けて、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州ではドイツキリスト教民主同盟・自由民主党・緑の党の所謂「ジャマイカ連立(Jamaika Koalition)」、ノルトライン=ヴェストファーレン州ではドイツキリスト教民主同盟・自由民主党の所謂「黒黄連立(Schwarz-Gelbe Koalition)」が有力と報じています。


終わりに-ドイツ社会民主党の巻き返しは?


今回の選挙を終えて、いよいよ9月24日(日)のドイツ連邦議会議員選挙に向けての本格的な戦いが始まります。

ここまでの地方選挙で一番ショックを受けているのは、前欧州議会議長マルティン・シュルツ氏(Martin Schulz)を党首に立てて選挙戦に臨んでいたドイツ社会民主党でしょう。


現在連邦議会ではドイツキリスト教民主同盟と大連立を組むも、名の通った政治家を党首に据えて9月の連邦議会選挙での単独勝利を目指していましたが、これまでの地方選挙では出鼻をくじかれる一方となっています。

シュルツ氏は今回の選挙での敗北に関して、党の政策に曖昧な部分があることが敗因であると分析し次の意向を示しています。

Unsere Partei wird die Kritik aufgreifen und nun ganz konkrete Vorschläge für Zukunftsgestaltung in Deutschland machen.
Wichtig ist vor allem Investitionen in Bildung und innovative Technologien.
私たちの党が非難を浴びているが、ドイツの将来像について真の確固たる提案をするつもりだ。

特に重要なのは教育への投資そして技術革新だ。



シュルツ氏率いるドイツ社会民主党が連邦議会選挙でどれだけ巻き返せるのかに注目したいと思います。


ドイツ政治に関しては以下の書籍もご参考に!